過去事例(排水管)

居住者負担の少ない更生工事を選択

1、建物概要

 「つつじが丘ハイム」は、京王線のつつじヶ丘駅近郊に位置する団地型分譲マンションである。
 竣工は昭和47年、建物は12階建てが2棟、5階建てが2棟、計4棟443戸あり、12階建ての棟は開放廊下がある階にエレベーターが止まるスキップフロア形式、5階建ての棟は階段室形式となっている。


2、管理組合の取り組み

 管理組合では、築40年経過し、第3回大規模修繕工事の時期が近づいていること及び、新築時のまま手を付けていない雑排水管立て管の改修を検討する必要があると考え、日住協の大規模修繕支援制度サービスを利用し、設計事務所の選定から改修計画を進めていくこととした。設計事務所選定後、まず建物と雑排水管の調査を行った。雑排水立て管については改修の必要性を判断するため、内視鏡調査を実施した。その結果、12階建ての棟の排水は汚水も含めた1本の鋳鉄管で配管されており、腐食は余り進行していなかった。5階建ての棟は鉄管で配管されており腐食の進行が確認された。基本計画では第3回大規模修繕工事に合わせて5階建ての棟のみ雑排水管の改修を実施することとし、改修方法については、更新と更生の2通りで検討を進めていくこととして、居住者への説明会で報告した。
 設計打ち合わせを進めていく中で、改修方法については、更新のメリット(腐食しない材料に取り替えができる、現在より排水能力を向上できる等)・デメリット(工事中の在宅期間が長くなる、工事中の振動・騒音が大きい等)及び、更生のメリット(工事中の在宅期間が少ない、工事中の振動・騒音が小さい等)・デメリット(更新より耐用年数が短い、管内の容積が小さくなる等)を比較しながら検討を進めていった。最終的には、2つの方法の見積もりを入手して検討し、工事中の居住者の負担が少ない方法である更生工事を行うことに決定した。
 更生工事は、既存の鉄管はそのままで、管内の洗浄・研磨後に管の内側に樹脂を塗布または貼り付けて、既存鉄管内側に保護膜をつくる工法である。今回は保護膜の厚みが確保できる樹脂の管を反転しながら挿入していく工法を採用した。


            
施工現場(P・C・Gテクニカ)ライニング材の反転・圧送作業中

3、工事概要

 工事は大規模修繕とは切り離し、大規模修繕が着工する2014年1月の前に完了する計画とし、工期は2013年10月中旬〜12月中旬の約2ヶ月間とした。工事は床下ピットで立て管を切断して、そこから樹脂を含浸したクロスを反転圧送し、最上階の5階住戸の管切断部を出口とした。枝管との接合部は管内部から機械で穴開け・反転を行うため、作業は床下ピット内及び5階住戸に限られ、工事中の在宅は、5階住戸の2日間だけであった。ただし、工事着工後、1階部分の立て管の一部で、直線で配管されていない系統が見つかり、一部の1階住戸も在宅工事が必要となった。
 前記の様な工事中に急遽対応しなければならない事案も出たが、工事は居住者の協力もあり予定通りに進み、工期内に無事工事が完了することができた。
(設計・監理=有限会社八生設計事務所、施工=株式会社P・C・Gテクニカ)


(2014年10月号掲載)

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