過去事例(排水管)

マンションの概要

 Gシティは2棟、498戸からなる郊外型の大規模マンションである。今回の工事は新築後33年目に実施した排水設備改修工事(排水管更新工事)であるが、その工法を巡っては管理組合で様々な検討が行われた。


工法の検討

 マンションにおける給排水設備改修工事というと、専有部分の工事が発生するか?あるいは発生する場合はどの様に対処するのか?という事が大きなテーマになる場合が多い。
 今回の工事でも、排水立て管は住戸内の押入れの中などに配管されている為、更新・更生といった工法を問わず、住戸内工事が生じる事が前提となった。
 これに対し、Gシティでは2007年度に専有部分を含む給水設備改修工事を実施しており、住戸内における工事についてはある程度のノウハウを蓄積していた。また、2007年度の工事に関わった修繕委員の数名が今回の工事にも携わっており、これらの事がプロジェクトの円滑な推進に大きく寄与したと判断する。このような管理組合体制の下、今回の工事では各住戸における工事時の負担軽減が最重要課題として位置づけられ、慎重な改修工法の検討が行われた。
 給排水管の改修工法というと、大きくは更新と更生とに二分される。工事後の耐用年数などを勘案すると更新が望ましいと考えられたが、各戸における工事期間が短縮できる事、室内の工事範囲が少ない事、工事費用が安価である事などを踏まえ、計画当初は更生を主軸に検討が進められた。
 しかし、管理組合では更新の可能性を完全に排除したわけではなく、居住者説明会での意見などを踏まえて、更新・更生の両面で工事見積を取得するための準備を行った。また、1次見積・見積会社へのヒアリング・2次見積と、施工者選定を進める過程でも更新・更生それぞれのメリット・デメリットを検証し、工事条件、工事費用などを煮詰めていった。その結果、最終的には更新が採用されることになったが、その判断にあたっては更新と更生との間に工事費の差異が無くなった事、ならびに1住戸における工期が許容できる範囲に収まったことなどが大きなポイントとして挙げられる。


      
  工事施工前                  工事施工後


おわりに

 一般的には更新よりも更生の方が安価な見積になる事が多く、工期の面でも優位になると考えられる。今回も1次見積では更生が安価になっていたが、施工者選定過程における見積者からの提案などを踏まえた結果、総体的には更新が優位となった。今回は配管位置などの様々な工事条件が更新にとって有利にはたらいたが、条件が変われば日進月歩で開発が進められている更生が有利になる場合もあろう。
 今回の工事を踏まえると、排水管改修工事の様にその工法の選択肢が多岐にわたる場合は、工事会社から提案型の見積を取得して工法を検討する事も一つの方策として考えられる。

株式会社スペースユニオン 一級建築士 藤木亮介
(設計・監理=株式会社スペースユニオン、施工=京浜管鉄工業株式会社)





(2016年12月号掲載)

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