過去事例(排水管)

32年目団地の給排水設備維持管理の軽減化に向けての取り組み/U団地(千葉県印西市)

1.団地概要

 U団地は、千葉県船橋市から印西市に広がる千葉ニュータウンにある旧公団分譲団地である。11棟260戸1984年入居で、本年は入居33年目となる。11棟ある住棟形状は8タイプあり、住戸形状は11タイプとなっている。1977年建設当時は旧公団タイプ2DK・2LDKタイプの住棟を、ベランダ側或いは階段室側に増築して3LDKタイプとして1984年に分譲した6棟207戸と新たに建設して同時に分譲した3〜4LDKタイプの5棟53戸の構成となっている。
 住戸内の給排水設備の配管状況はそれぞれ異っており、共用排水竪管は一部のタイプのトイレ内露出配管を除いて隠蔽配管となっている。


2.給排水設備維持管理の軽減化

 管理組合では、建物及び付帯設備と共に組合員・居住者の高齢化が進んできたことから、2008年の第2回大規模修繕工事実施以来、給排水設備維持管理の軽減化と共に改修実施時期を前倒し早期実施を検討した。
給水設備の更新計画では2024年としていたが、2015〜16年に水道用高性能ポリエチレン管と増圧ポンプによる直結増圧方式による屋外給水設備の更新を実施した。それに先立って、2013〜14年に棟内の共用給水横主管と竪管の更新と共に、住戸内専有給水管を水道用硬化塩化ビニル管にて更新した。これにより給水設備に関しては、2基の増圧ポンプの維持管理以外は、給水管の今後の更新更生は無しとなった。
 排水設備の更新計画では、台所系竪管更新が2013年、その他の竪管更新が2021年としていたが、事前調査の結果、台所系排水竪管の継手部に腐食劣化の進行が認められた為、2010年に台所系のみ改修した。台所系の改修内容は、共用竪管の分岐継手部分のライニング鋼管更新と専有部枝管の鋼管部分をビニル管にて更新した。PC棟2棟のアルファ-鋼管の共用竪管については、耐火二層ビニル管にて全面更新とした。
 台所系以外の共用排水竪管については、2015年に内視鏡と抜管による現況調査を実施して、竪管の分岐継手部分に劣化進行が確認されたため改修工事の実施に向けて検討され、2016年に設計と着工して2017年3月に工事完了した。
 今回の工事により、今後の屋内排水管の維持管理は管内の定期洗浄となる。


3.工事内容

 一部のトイレ排水竪管以外の排水竪管は隠蔽配管されているため、共用排水竪管の改修工法は、内装を解体しての竪管更新ではなく、既設鋼管内に樹脂による自立管を形成する更生工法とした。この為、既設管内の腐食劣化が進む前に施工する事とした。排水竪管の更生工事は屋上からの工事としたため、一部棟の固定型鋼製屋上通気口を脱着可能型樹脂製通気口に取替えた。これは今後の排水竪管の定期洗浄を全棟について屋上より施工可能にもした。
 また、PC棟2棟のアルファ-鋼管の共用竪管については、着工してからの詳細調査で、継手部分の腐食劣化による内部塗膜の劣化が判明した為、耐火二層ビニル管による全面更新に仕様変更した。住戸内専有部排水枝管の鋼管部分は、硬質塩化ビニル管と防火区画貫通部は耐火硬質塩化ビニル管にて更新した。
 今回の工事は、共用排水竪管更生工事と専有排水枝管一部更新工事を同時施工とし、竪1系統5戸を4日間工事とした。住戸内の床下又は天井内の排水枝管の一部更新工事に伴っては専有部内装撤去復旧工事を行った。また、着工前に全住戸に対して工事に関する説明と工事範囲の事前調査を実施した。
 共用排水竪管更生を全面更新に仕様変更した竪5系統の住戸を除いて、予定日程通り全住戸の工事を終了した。


4.工事を終わって

 なお、資金の関係で今回工事から除外した、スラブ上配管タイプ住戸を除く212戸の浴室と洗濯機置場のスラブ埋設排水金具の更生工事は2年後に実施する予定とした。
 今回の工事に際して、不在住戸・連絡困難住戸・外部オーナー等への連絡は個人情報漏洩防止のため管理組合が行った。特に理事長が対象全住戸に対して連絡を取り合意を取付けた。
 なお、屋外埋設排水設備に関しては、排水用硬質塩化ビニル管とコンクリート製桝を使用して施工されている事により、当面の維持管理は事故修繕と定期的洗浄による対応としている。


設計・監理
一級建築士事務所 秋設計  秋葉義廣



(2017年7月号掲載)

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