過去事例(排水管)

100年持つ団地を目指したライフライン改修工事/G団地(東京都)

1 建物概要

 G団地は、京王線めじろ台駅からバスで10分程度に位置する。1986年、旧公団分譲で、2階建タウンハウス3LDKが9棟、同4LDKが2棟、3階建メゾネットタイプ3LDK6棟が、1〜2階と2〜3階の2タイプに分かれており、住戸タイプが4種類、建物棟数17棟、総戸数108戸の団地である。


2 工事内容決定の経緯

 同管理組合では、2011年から給水管改修工事を更生工法で行うための準備を進めていたが、同団地は、水道局本管と団地内配水管が直結しているため、水道局から「更生工法による工事は認められない」ということとなり、工事は2013年に中止となった。  そこで2014年、同管理組合は、更新工事を前提とした給水管改修工事のための修繕委員会を立ち上げた。同委員会では、各種セミナーに参加したほか、会員であるNPO日住協の工事支援事業に申込む等、情報収集に努めたところ、給水管よりも、排水管の劣化がもたらす日常生活への影響が大きい事を知ったほか、同時期に他団地で起きたガス漏れ事故の一報を受け、専有部分の給水管、排水管、ガス管の更新が必要と委員会内で一致した。  また、メゾネット棟では、上階の排水管が浴室排水口を通って下階住戸に繋がる「スラブ下排水」となっており、将来、浴室排水口とそれに続く排水管を更新した場合、多額の費用と生活への支障が生じることから、メゾネット棟では、排水管が自階で完結するスラブ上化を行うこととした。  こうして、全棟の専有部分給水管、排水管、ガス管の更新工事とメゾネット棟6棟の排水管スラブ上化を内容とするライフライン改修工事が決定した。


3 合意形成と工事開始

 2016年8月に最初の全組合員への説明会を実施し、その後、住戸タイプ別の説明会を4〜5回に亘り実施した。
 工事費用は、全額修繕積立金で賄える見通し(前回大規模修繕時に、専有部分でも、ライフライン改修時には修繕積立金が使えるよう規約改正済)であったが、個別事情から合意が難しい住戸もあった。高齢化の進んだ同団地では、今後修繕積立金の値上げも難しく、将来に亘り団地で生活を続けるには、問題を先延ばしせず、現在の修繕積立金の範囲で、今回のライフライン改修工事を行うことが最良の選択肢である事を説明し続けた結果、同年12月の臨時総会で、108戸中104戸の賛成多数で工事は承認された。
 また、工事開始後は、各住戸の荷物や、洗面所、洗濯機の移動等は組合が費用負担することとした。 ほかにも、力の弱くなってきた高齢者でも、簡単に給湯や給水の栓が開閉できるような仕様に変更する等、各住戸の細かな要望を拾い上げ、施工業者と打ち合わせ、それを仕様に反映させていくといった、修繕委員会の細やかな対応が、円滑な工事の遂行に繋がった。


2階住戸から階下への排水管
2階住戸から階下への排水管
2階住戸からの排水管撤去後
2階住戸からの排水管撤去後
更新前の住戸床下配管の様子
更新前の住戸床下配管の様子
更新後の住戸床下配管の様子
更新後の住戸床下配管の様子

4 今後の課題

 今回の改修工事にあたっては、修繕委員会が3年に渡り携わり、委員同士の意思疎通もうまくいっていたが、理事会のメンバーが毎年変わり、理事により、工事に対する関心に温度差があるため、新理事会の工事への理解に時間を要したこともあった。
 理事会内での円滑な引継ぎが、今回工事の様な複数年に亘る事業遂行時には、大きな課題となった。


設計・監理=(有)マンションライフパートナーズ
施工=建装工業(株)



(2017年11月号掲載)

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