工事事例(屋上防水)

大規模団地の屋上防水改修工事/川越グリーンパーク(埼玉)

 川越グリーンパークは、33棟・1450戸からなる埼玉県有数の民間分譲大規模団地で、築後30〜32年。2棟・90戸は9階建ての高層棟、残りの31棟・1360戸は5階建て階段室型のPC・壁構造による中層棟で構成されている。この5階建て・31棟の中層棟が今回の工事対象である。
 この団地では5年程前に大規模修繕工事を実施しているが、屋上防水については高層棟だけ更新し、中層棟は補修・保護塗装までの工事となっていた。従って、既存の露出アスファルト防水は約18年を経過しており、雨漏れも多く発生していた。
 一方で、給排水管も劣化が進行し、漏水事故も多発しており、更新工事を検討している中で、防水層を貫通して屋根に出ている伸頂通気管をどうするかが課題となっていた。新築当初の通気管は鋼管で腐食しており、既にベントキャップは塩ビ製に交換されていたが、防水層貫通部の鋼管はそのままで、防水層との取り合いも適切ではなかった。これらを漏水の心配無くきちんと納めるには通気管と防水層を同時に改修する必要があり、今回が滅多に無いチャンスであった。
 今回の工事は、給排水設備改修工事と屋上防水改修工事を別々の工事とし、工事施工会社も別々に選定したが、結果として両工事とも建装工業(株)に発注する事となった。結果として、費用的にも施工管理的にもメリットはあったが、特に工事施工会社が2社入る場合と比較して、居住者への負担感を大幅に減らす事ができたと思う。
 工事は昨年3月に着工、約10ヶ月の工期で、12月に予定通り竣工。屋上防水の全面的更新工事だけであるが、平場だけでも2万4千平方メートル以上の大工事であった。全体を5工区に分け、足場等仮設資材を使い回しし、クレーンによる屋根への資材上げ下ろしもなるべく同時に行えるよう合理的に計画した。
 現場事務所・資材倉庫や洗場・トイレ等の共通仮設は、同じ仮設用地内で給排水設備改修工事と共用。直接仮設としては、屋上だけの作業であるため作業者昇降用に足場用仮設階段を設けているが、近くに並ぶ住棟の間に設けたり、屋上同士直接桟橋でつなぐなど、効率化する事で、31棟に対して仮設階段は15箇所。重量物の上げ降しは、その都度ラフタークレーンを使用している。



屋上防水施工中の様子

 屋根防水の仕様は、既存と同じ露出アスファルト防水であるが、環境対応型改質アスファルト防水ノンケルト冷熱工法(田島ルーフィング・BANKS工法)としている。これは信頼性の高い溶融アスファルト熱工法の良さを残しながら溶融釜(ケルト)を排除して臭いや火気の危険性を除いた工法で、今回は50ppmの断熱材を防水層下に敷き込み、トップコートには遮熱性塗料を使用。
 懸案となっていた排水通気管の防水層貫通部については、屋上の設備配管取出し口として一般的に「ハト小屋」と呼ばれる部分に使用する既製品の「HATOCOT」を設ける事とした。これは本体が繊維補強コンクリート(FRC)で作られ、天端の蓋はFRP製でユニット化されている。通気管貫通部分の既存防水層撤去後にこれを設置すると新規防水層とこの後で行う排水通気管の取替が別々に施工出来る。屋上防水の改修工事と排水管改修工事の進行ペースが異なるが、この「HATOCOT」によりうまく調整する事が可能となり、屋上防水を先に進める事が出来た。その他、これを機に屋上に付く不要なアンテナや金物類を撤去し、なるべく漏水の危険性を減らす事とした。
 大きな事故やトラブルも無く良好な工事が順調に終了出来たのは、工事を担当した建装工業(株)現場担当者の技量と努力によるものであるが、この間、毎月工事協議会に参加し熱心に対応していただいた管理組合修繕委員会の皆様の尽力無しでは不可能であった。又、工事期間中の不便や騒音等に耐えてご協力いただいた居住者の皆様にも感謝する次第である。尚、同時に着工した給排水改修工事は、本年8月末までの予定で、現在も順調に進行中である。
 (設計・監理=有限会社柴田建築設計事務所、施工=建装工業株式会社)


     
2棟の間に設けた仮設会談              HATOCOTと通気管



川越グリーンパーク


(2015年4月号掲載)


前へ | 次へ