工事事例(耐震補強)

耐震補強工事と大規模修繕工事を同時施工
安全性の確保と美観の向上並びに工事費節減につながった
Sコーポ(東京・練馬区)

耐震診断

 当マンションは、平成23年に制定された都の「緊急輸送道路沿道建築物耐震化促進条例」により、耐震診断が義務化された、旧耐震基準の特定緊急輸送道路沿道建築物であったため、耐震診断を行った。
 その結果、耐震性が不足していることが判明した。地上14階建ての6階までが耐震性不足だった。そのほか、外壁がかなり劣化していることも分かった。
 特定緊急輸送道路沿道建築物は耐震工事に対しての補助金が厚いので、管理組合ではこの制度を利用して耐震改修を計画することにした。
 まず、管理組合は東京都に相談。専門家としてのコンサルタントが必要ということになり、耐震改修の設計業務を含めて全体のアドバイザー役を当社がお引き受けすることになった。管理組合の耐震工事実行委員会との話し合いが始まり、補強案の提示など約2年をかけて何回も打ち合わせを重ねた。


耐震補強工事

 理事長をはじめ耐震工事実行委員会の方が耐震化への意識が高く、マンションの合意形成にご尽力され、最終的にはほぼ100%の施工同意を得、マンション全体で意識の共有をする事ができた。
 管理組合からは、工事費が安く抑えられ、住戸内に入らなくても出来る工法、美観を損なわない工法、補強後の使い勝手に不便が掛からないようになどの要望があり、それらを踏まえて当社で耐震設計(工事仕様等)を次の通りに決めさせていただいた。
 補強工事の内容としては、(1)外付けのコンクリートフレーム工法(斜材の入らないタイプ/宇部興産のデザインUフレーム工法)(2)耐震スリット(3)鉄骨枠付きブレース(4)1階ピロティ部分の耐震壁(5)柱のコンクリート巻、の5タイプとし、工期約7月。これにより、数値上は震度6強から7の地震、振動、及び衝撃に対して倒壊し、又は崩壊する危険性が低いというレベルを維持することが出来るようになった。


大規模修繕工事

 当初、管理組合では耐震補強工事しか考えていなかったが、耐震補強工法は建物の外付け工法がメインであったため外部に足場をかけることになるので、どうせならその足場を利用して外壁改修工事も一緒にやろうという方向になった。
 耐震補強工事を単独で行うより大規模修繕工事と同時施工することにより、共通仮設(現場事務所)・直接仮設(外部足場等)で約1000万円、防水・塗装工事で約570万円程度の費用が抑えられた。
 また、耐震工事の助成金は、耐震工事をした部分の防水・塗装費用しか出ない。したがってその部分だけ防水・塗装施工すると、耐震工事で施工した部分と耐震工事で施工しない既存部分との差が歴然と生じて非常に見栄えが悪い。さらに、外壁等下地の劣化度合いにも差が出る。
 今回工事は、耐震補強工事と大規模修繕工事とを同時施工したので前記のような差が生ずることなく、外壁の下地と塗面は全体に均一性が保たれた。
 外壁改修工事は、浮き、クラック等の下地補修と塗装が主な内容。


おわりに

 補助金については練馬区と理事長、弊社で協議を重ね練馬区の全面協力もあり最大限活用することが出来た。
 居住者からは「これから安心して住める、工事中の騒音はすごかったけど工事して良かった、住宅が相場よりも高く売れた」などの声があった。理事長からは「別々に工事をするよりも同時に施工した方が工事の期間が短縮できるので居住者への負担が軽くて済み、資産価値も上がり、快適な生活が送れると皆さんが喜んでくれています」とのコメントをいただいた。
 管理組合の方々並びに居住者の皆様には、工事中の長い間のご協力ありがとうございました。(株式会社耐震設計・現場担当者)


Sコーポ 外観
Sコーポ 外観
耐震補強工事の様子
耐震補強工事の様子
1階ピロティ柱のコンクリート巻
1階ピロティ柱のコンクリート巻
鉄骨枠付ブレース
鉄骨枠付ブレース

(建物概要)
    建物名:Sコーポ
    住 所:練馬区豊玉北
    構造規模:鉄骨鉄筋コンクリート造、地上14階、塔屋2階
    延面積:3,213.63u
    敷地面:643.59u
    建築年:昭和44年
    戸 数:51戸(分譲)
(工事概要)
    工事内容:耐震補強工事及び大規模修繕工事
    設計者 :株式会社 耐震設計
    施工者 :神興建設株式会社
    耐震工事費:¥153,360,000-(内税¥11,360,000-)
         ※補助金率は耐震工事の約80%
    外部改修工事費:¥61,020,000-(内税¥4,520,000-)
    工期:平成29年8月1日〜平成30年3月10日(約7か月)



(2018年4月号掲載)


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