改修工事情報

復旧と障害保険

マンション火災の復旧に修繕積立金を充てることができると考えている管理組合が少なくない。原則として、このような場合の建物復旧に修繕積立金を使うことはできない。やむなく総会の承認を得て、一時的に火災による災害復旧に修繕積立金を使用するとしても、計画修繕に支障とならないように積立金を臨時に徴集するなどして、早急に流用分を補填しなければならなくなる。火災が発生した場合の建物の復旧は、基本的にその建物の失火者を除く区分所有者全員の拠出金によらなければならない。復旧資金が完全に調達できなければ復旧に着手できない。個人負担に応じられないとか、拠出を拒む人がいたりすれば、罹災者は、長い期間自分の住宅での生活ができなくなる虞がある。

区分所有法は、「共用部分に損害保険を付保することは管理に関する事項とみなす。」と規定して、損害保険の付保の方法を示している。

昨今、損害保険会社からマンション管理総合保険なる保険商品が売り出されている。この保険は、共用部分の火災保険、管理上の経済的責任を問われる場合に備える施設賠償責任保険及び個人の生活上に起きる問題に備えるための個人賠償責任保険(マンション保険又は団地保険など)を組合わせしたものだ。これは、一見合理的な保険だが、うっかりそのまま契約すると、管理組合に重大な手続き上の瑕疵問題が起こる。管理費は、共用部分の管理に使用するため区分所有者から強制的に徴収しているのであり、個人の目的のためには使えない。個人賠償責任保険を管理組合が一括契約して保険料を管理費から支払うことにするには、少なくとも区分所有者全員の合意が必要である。新築入居時なら全員合意は容易にとれるだろうが、年数が経てば全員の合意をとるのは難しくなる。そこで一括付保に代わる方法としては、保険会社の協力を得て、管理組合は居住者の専有部分に係る付保状況を調査し、そのうえで、管理組合主導で個人賠償保険責任保険の契約を取りまとめるとか契約を推進する方法もよい。最近、住宅価格の下落で、全焼したとき、復旧費が住宅の市場価格より高くついたという現象が出ている。保険は、再建築価格で契約することが大切。あまり長期間の保険契約をするのも望ましくない。新築マンションでは割賦期間が30年以上のものもあり、保険の期間もそれに応じた期間になって保険料の前払方式だと、保険金の支払に減価償却方式が適用され、いざというとき、頼りにしていた支払保険金で復旧できないということもあるので注意を要する。

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