改修工事情報

大規模修繕施工業者からの提言

 日住協神奈川県支部が本年開催した新任役員講座の中で、「施工業者からの提言」と題して某大手改修専門業者社長の講演がありました。改修業界の内幕や問題点等について鋭い提言をされております。これから大規模修繕を計画する管理組合にとって大いに参考になると思われますので、講演内容の要旨をお届けします。

外装工事は3兆円市場、専門施工業者の躍進

 塗装、防水中心の外装工事は、今年3兆円、2010年に6兆円に達するといわれている。その専門施工業者の歴史は昭和52年に始まった。公団がゼネコンを通さずに大規模修繕工事を発注し始めた年である。その第1号工事・稲毛を専門施工業者が第2号工事・左近山をやはり専門施工業者が受注した。これにより改修工事に対する専門施工業者の評価が高まった。
 当時は通例、新築後10年を過ぎ瑕疵保証期間が終わると、ゼネコンは施工した建物に対して縁を切る事になる為、専門施工業者がこの機会を捉え直接受注を目指し成功した。
 その後、専門施工会社は着実に受注が増大し、塗装・防水業者から総合的な改修業者へ変貌を遂げつつある。品質に関するISO9000シリーズ、環境問題への対応に関するISO14000シリーズの認証を取得して専門施工業者はその地位の確立に努力している。

法律でシックハウス対策が厳しく

 しかし、専門施工業界の将来が順風満帆というわけではない。今後も発展を続けるには、以前にも増した努力が必要である。今年改正された建築基準法のシックハウス対策に合わせ、工事のスピードアップ化が不可欠である。
 即ち、作業を終えて引渡しまでの間に、ホルムアルデヒド等VOC(揮発性有機化合物)の有無、あるいは含有量を調査する為、指定検査員による空気採取と分析が義務付けられた為、その日数(約10日間)だけ作業日数が減らされることになる。

不況で受注競争過熱

 改修工事における労働力不足や環境対応、低価格といった問題や課題が存在している。
 長引く建設不況で、今まで見向きもしなかったゼネコン各社も、一斉にリフォーム工事にシフトを変え受注競争が加熱して来ており、今色々と問題が発生してきている。果たして安くて良質な工事は出来るのか、あまり実績の無い工事会社に発注して大丈夫なのか。
 建物の長寿命化が叫ばれている今、大規模修繕工事のあり方を考えてみたい。


■発注先は専門施工業者かゼネコンか

■設計事務所の問題点


 安く設計監理を受注して施工業者にたかる事務所があるので、設計監理費を比較して安ければいいという訳にはいかない。
 塗装色が上塗り、中塗、下塗りがそれぞれ別な色ならば、仕様通り施工している事を簡単に確認できるが、同色であればどうしても手を抜く。同色を仕様にするような設計事務所は避けたほうが無難。
 施工業者のダンピング(不当廉価)にも注意が必要。公取から摘発された例は無いが、時にはダンピングが行われる。施工業者の受注金額が設計事務所の予算額の80%を下まわった場合、技能者の賃金を1・5万円/1日以下とした金額の場合は、安すぎる。施工業者が手抜きに走る恐れが大きい。
 設計事務所が特定の施工業者と癒着して工事受注に協力する場合、いくつかのパターンが過去の例としてあった。


■管理組合役員に問題がある場合


■管理会社の問題点


大規模修繕工事に対する所得減税について

 今、日本商工会議所では、住宅税制の改正を提案している。その内容は、個人所有の住宅に掛かるメンテナンス費用に関して、所得減税をしてほしいという要望だ。
 これによってメンテナンスを必要とする住宅所有者は、より積極的に工事を発注し建設不況を少しでも民間需要を活発に出来るようにしたい。又、発注者も所得税が低減される事で発注しやすくなり、建物を永く大切に使う事が出来ると考えられる。これらは工事を受ける側だけでなく発注する側も声を大にして要望したい事項と言えよう。


(NPO日住協神奈川支部「新任役員講座」より)


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