改修工事情報

墨出し用床開口部も未閉塞の危険性について調査/国交省

工事の穴ふさがず延焼火災の原因に


 集合住宅の建設時に天井部分に開けた工事用の「墨だし穴」がふさがれず、火災時に上階へ延焼の恐れがある公共賃貸住宅が全国で938棟あることが国土交通省の調べで分かった。これは昨年、大阪府吹田市の府営住宅で火災が起きた際「墨だし用開口部」がふさがれていなかったため、下層階から上層階へ火が広がり延焼したことを受けて、全国の既存公共賃貸住宅を対象に調査を行ったもの。
墨だし用床開口部とは
 集合住宅を建築する際、コンクリート床の仕上げ工事の前に、建物の柱の中心線や床・壁の仕上げ面の位置など、工事の基準となる線を構造体に引き、寸法を取る作業のことを建築用語で「墨出し」という。
その作業の際、最上階から1階に床スラブを貫通する穴「墨だし穴」を開け、垂直かどうかを調べるため、糸の端に真鍮(しんちゅう)の逆円 錐形のおもりをつるした「下げ振り」と呼ばれる道具を垂らす。
通常、完成時には、この「墨出し用床開口部」はモルタルなどでふさがれるが、大阪の住宅の場合この開口部がふさがれておらず、4階から出火した火は穴を伝い5階の部屋に燃え広がった。
 本来、耐火構造の建物では上層階への延焼は珍しく、消防が原因を検証した結果、5階の押し入れの床部分に開口部を発見。
 現在では明らかに建築基準法違反だが、同住宅が建設された47年前は該当する規制が無く、また、当時の施工会社10社のうち、どの会社が担当したのか、今では特定できないという。
分譲マンションにも同様の恐れ
国土交通省ではこの事故を受け、全国の既存公共賃貸住宅を緊急調査。
 3月末の調査で、調査実施1万1839棟のうち、墨だし用床開口部が開いたままの住棟数が938棟あることが分かった。
 最近ではこの墨出しを、レーザー機器を使い、水平垂直をチェックする方法も増えたが、平成以降の建物でも開口部がふさがれていないものが見つかっており、築年数の浅い住宅でも同様の施工ミスの可能性が無いとはいえない。
 同省では、調査対象住棟について引き続き調査を進めるとともに、墨出し開口部が発見された場合は、速やかに閉塞工事を実施することとしている。
 また、このような状況は公共賃貸住宅のみに発生しているとは限らず、分譲マンションにも同様の事例がある恐れがあることから、マンション関連各団体や管理組合への周知徹底を図るとしている。
国交省ホームページ
http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000038.html


 


(2010年8月号掲載)