改修工事情報構造計算書偽造問題

安心のための管理組合の取組み事例

耐震強度偽装によって、私たちは大きな不安を抱えることになり、構造計算書を手に入れ、再計算を依頼し始めた管理組合もある。今回は再計算ではない取組み例を紹介する。

グローブコートの取組み

グローブコート大宮南中野団地管理組合法人(GCまたはGC管理組合)では構造設計から施工及びそのプロセスについての説明会を埼玉県住宅供給公社及び建設時の竹中工務店東京本店のプロジェクトリーダー及び構造設計担当者2名によって理事等を対象に行った。

その内容を、GC管理組合の建物・施設委員長に訊いた。

GCの調査意図

『構造設計から施工までの、全体の整合性に重点を置き、「鉄筋量とコンクリート量の設計段階と実際使用量の差異」「構造設計と施工及び監理」「基礎の耐震性」の3点について説明をお願いし、「構造性能」「施工性能」「信頼性能」を探ろうとしました』。

●構造性能

鉄筋とコンクリートの量

偽装ではコストカットのために鉄筋量とコンクリート量をダウン。そこで、『設計段階及び請求書のコンクリート量及び鉄筋量を比較。結果として、請求書のほうがわずかに多い結果になり、コンクリートの質、量及び鉄筋の太さも十分で、量も適正でした』。

構造設計

『GCの構造方式は鉄筋コンクリート造「耐震壁付き」ラーメン構造を採用』。ラーメン構造とは、柱と梁の接点が変形しにくい「剛」接合になっている構造で、耐力壁や筋交いを入れなくても、地震などの横揺れに耐えられる構造。『したがって、より頑強です』。


図:壁式ラーメン構造の特徴

人間の手による考慮

コンピュータによる計算では、鉄筋の収まりや施工性は考慮されておらず、計算結果を構造図面に反映させるには人間の作業が不可欠。GCでは『最終的な決定断面の鉄筋本数が、構造計算の所要鉄筋本数以上の部位もあることが、計算書と構造図で確認できました』。

保有耐力1.24

耐震性では、Quが震度6強程度の地震に対する建物の保有水平耐力、Qunは建築基準法による必要保有水平耐力で、GCの場合『ある棟の保有耐力は1階1.39、2階1.24、3階1.46、4階2.55でした』。

基礎の耐力も重要

基礎がいい加減なら、骨組がいくら頑丈でも意味がない。GCでは、『剛強な耐圧版による直接基礎で一部は地盤改良をし、長期地帯力10t/m2以上を確保。長期接地圧は約1.03倍で、地震時に対しては約1.7倍の余裕です』。

●施工性能

工事監理の重要性

今回の偽装において、工事監理者が不明の建物が多くある。

GCの場合、『構造設計者は現場立ち会いも行い、構造図との不整合があれば作業は進めません。当時の工事監理記録文書の一部も確認し、そこには図面にある名前があり、同一の説明してくれた2名のサインや写真も残されており、スラブ配筋状況やコンクリートのスランプの測定状況などの記録写真や書類も確認しました』。

●信頼性能

『顔が見えているか』

『信頼性能とは、信頼に足る会社や人か、前述の説明等に整合性があり、矛盾はないのか』『質疑も活発で、それに対し公社、竹中工務店は真摯に応えました』。

GC建物・施設委員長は、『構造設計や施工の実際に加え、造った人たちの顔が見えているのか否かが、信頼性を図る重要な基準』と明快に語った。

 

(2006年4月号掲載)