改修工事情報

変わりつつあるマンションの太陽光発電事情/住生活月間特集

 毎年10月は「住生活月間」。本格的な少子高齢、人口と世帯減少社会が到来する中、住宅の「量」の確保から「質」の向上を図るため、平成18年に「住生活基本法」が策定され、法律の成立を受け、従来の「住宅月間」を「住生活月間」に改め、期間中は国や自治体、関係団体などにより快適な住環境を実現するための様々なイベントが今年も全国で開かれる。そこで今月は、原発事故以来注目されている住宅の「自前のエネルギー」を確保するという点に着目し、自前エネルギーの有力候補とされ、低炭素社会実現の再生可能エネルギーとしても注目される「太陽光発電」とマンションとの関係を追う。


マンションと太陽光発電の今まで

 最近、一戸建て住宅で太陽光発電パネルが載った屋根をよく見かける。
国の助成金など政策的なインセンティブにより、一戸建てでは、太陽光発電の導入が進んでいるようだ。
 一方、新築分譲のマンションでは、蓄電池付きで各戸に送電可能な太陽光発電マンションを販売するデベロッパーがでてくるなど、太陽光発電の導入が進みつつある。
 しかし圧倒的多数の既存マンションでは、太陽光発電を導入したという話はあまり聞かない。
 既存の分譲マンションで太陽光発電の電気を各戸に配電するには、大規模な電気設備の改修が必要となる。
 また太陽光パネルの設置場所は、共用部の屋上やベランダになるため、パネル設置には住民の合意が必要で、余剰電力を売電しても、設備の改修費及びパネルの設置費用の回収に時間がかかることから、合意を得るのは難しい。
 つまり、既存マンションでは太陽光発電の導入は非常に困難であった。
 しかし、その事情が変わりつつある。

神奈川県・東京都が推進する「屋根貸しマッチング事業」について

 今年9月、神奈川県・東京都は「屋根貸しマッチング事業」(東京都は「屋根貸しビジネス」マッチング事業)を開始した。
 同事業は、今年7月にスタートした「固定価格買取制度」を活用し、発電事業者が一定の面積を有する屋根を借りて太陽光発電を設置し、建物所有者は屋根の賃料を得るという新しいビジネスで、神奈川県や都は、屋根を借りたい「発電事業者」と貸したい「建物所有者」を募集し、双方のマッチングを図る。
 「固定価格買取制度」とは、再生可能エネルギー発電事業者が政府の定める調達価格で電力会社に電気を売る場合、電力会社に買取を義務付けたもの。太陽光発電は、1kW/h当り42円で20年間買取られる。

屋根貸し事業のメリット

 発電事業者は、屋根を借りて発電を行い、固定価格買取制度で電力会社に売電し、利益を得る。建物所有者は、賃料を得るほか、太陽光発電システムの設置、メンテナンスは発電事業者が行うため、費用負担なく太陽光発電を導入できる。メンテナンスの問題で、導入に踏み切れないマンションも検討の余地が生まれた。さらに、災害で電力会社の送電がストップした時、非常用電源として使えるメリットもある。

設置できる建物の条件

 神奈川県の場合、
(1)20年間継続して賃貸できる
(2)新耐震基準が適用されているか、または新耐震基準は適用されていないが耐震補強工事が行われている
(3)太陽光パネルを設置できる1棟の屋根の面積が500m以上
(4)周囲に山、森林、ビル等がなく、日照条件が 良好
といった条件があるため、全ての建物で設置ができるわけではない
。  また、重い太陽光パネルを設置するため、屋上の補強工事や防水工事が必要となり、工事費は管理組合の負担となる点も注意が必要だ。
 マンションへの太陽光発電導入には、まだ課題も多いのが現実だが、確実に状況は変わりつつある。今後も状況の変化があれば随時お伝えする。



(2012年10月号掲載)