改修工事情報

マンションのリフォームと色彩

 ヒトは約800万色もの色を識別できると言われています。その多くの色を見分けることができるのは、「可視光線」と呼ばれる電磁波長領域を捉える知覚にあります。そのしくみは、まず光源としての照射光が物体に当り、その照射対象が、特定の波長を跳ね返します。次に、それが反射光として網膜に映り出され、「脳」が「色」として識別をします。更に、反射した「色」に対しての感覚(感情)を認識しイメージが生まれることになります。ここで重要なことは、各々の光線に特性があることです。照射光は、光の三原色(加法混色)と呼ばれ、混ぜるほどに白に近づく性質を持ちます。ところが、反射光(物体色)では、色材(塗料やインキ)の三原色(減法混色)と呼ばれ、混ぜるほどに濁る(灰色)に近づく性質があります。つまり、私たちは、様々な反射光(色)に囲まれ生活しているので、反射光(物体色)である建物の外壁や内壁について、その色の美しさ(美観)を求めた場合、リフォームで使う色数を出来るだけ抑え、整理された色選びが「綺麗に映える」色づかいを得やすくなることになります。




2.色の嗜好性とイメージの活用

 色の印象は記憶に残りやすく、その時に与えられたイメージは、後の印象にまで影響を与えてしまいます。「十人十色」という程、多くの嗜好とイメージを持つのが色の特性でもありますが、世代を跨る住民層が住むマンション改修では色選びや色づかいでの困難度も大きく、多くの嗜好性とイメージを集約・整理することが大切な事になります。しかし、嗜好性とイメージが合致してゆけば、連帯感と責任感の相乗効果や資産価値向上へと繋がる手立てとも成り得ます。
 現在、マンション改修で多く選ばれる色の淡彩色(淡く白っぽい色)系は、

  1. 汚れの目立ちにくい
  2. 飽きの来にくい
  3. (塗料において)褪色が少ない
  4. (塗装工事の際において)品の良い

などを主眼にしたニーズに対応できる色系です。しかし、多くのケースに対応できる平均さの反面、「柔軟性」や「個性」に欠ける側面もあります。その為、住民の意見や地域特性などにも考慮したアクセントカラーなどの色づかいで印象的色合いを補うことにより、嗜好性とイメージが向上された「まとまり」を施す工夫も提案として必要となることが考えられます。




3.配色効果による色彩調和

 色づかいの要は幾つかの色を効果的にあつかう「配色」の活用にあります。その配色の目的は、

  1. 統一感(煩雑・複雑な形をまとめる役割)
  2. リズム感(単調な形に変化・表情をつける役割)

であり、建物の形や環境に適した調和を図ります。
 加えて、色彩には自らが発する「明るさ感」を備えている機能があります。それは、黄色は他のどの色味よりも明度が高く、青や紫の色になるほど明度はだんだん低くなるなどの特性です。このような色味と明度の関係を「ナチュラルシークエンス」と呼び、配色効果上、極めて重要な概念としています。特に、外構緑化や植栽などの自然感と調和を図る際に効果的です。
 配色は多くのカラフルな色づかいで成り立つと思われがちですが、視覚的な法則性や計画性に基づいた「配色美」を求める彩りづかいの調和なのです。




(2005.1)