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最新高齢者福祉・介護事情

老人福祉・介護事業者の倒産増

 民間信用調査機関の東京商工リサーチは、2015年1―10月期の「老人福祉・介護事業」の倒産状況を発表した。
 同期間の倒産は62件(前年同期比34.7%増、前年同期46件)と昨年一年間の倒産件数54件を超え、過去最多となった。
 内訳は、「訪問介護事業(ホームヘルパーが利用者宅に訪れ、介護や日常の家事を行う事業)」が25件、「通所・短期入所介護事業(デイサービス等に要介護者等を通所・短期入所させ、日常生活の世話や機能訓練を行う事業)」は24件と昨年同期より倍増している。
 従業員数別では、5人未満の事業者が41件と増加し、小規模事業者の倒産が全体の約7割を占めた。また、設立5年以内の事業者が35件と約6割を占め、小規模、かつ新規の事業者が倒産の中心となっている。
 「訪問介護事業」や「通所・短期入所介護事業」は初期投資が少なくて済むため、近年他業種からの新規参入が相次いだ。しかし、そのような事業者は、介護事業のノウハウを持たないケースが多いため、経営が悪化。
 またより高い賃金を求め、介護事業者間での人材の移動が相次いだ。さらに、老人福祉・介護事業職員の月給は2014年の全国平均が常勤で約22万円と、全産業平均の約33万円より約11万円低い(厚労省統計より)ことから、近年の景気改善傾向により、人材が他業種に流出しやすくなったことで、小規模な事業者ほど「人手不足」が深刻化し、経営を続けられなくなるケースが増えたと推測されている。


介護離職ゼロに向けた取組始まる

 介護離職とは、労働者が配偶者や親、祖父母の介護のため仕事を辞めることだが、毎年介護離職する人が年間約10万人いるという。中でも、30〜50代の働き盛りが離職し、その7割が女性労働者と言われている。
 介護離職の問題は、離職後の家庭収入が不安定になることにある。多くの場合、介護しやすいよう、離職者はパート・アルバイトに就業するため収入は大幅に減少。そして介護が終了したのち、再就職しようにも、40代以上の人の再就職は難しく、生活が困窮するという悪循環に陥る。
 さらに介護離職は、企業にとっても大きな影響がある。40代以上ともなれば、企業の中でも中堅・幹部クラス。それらの人がいなくなることで、大幅な戦力ダウンは避けられなくなる。
 そこで政府は、「一億総活躍社会」実現のため、2020年代初頭までに「介護離職ゼロ」の方針を掲げた。同方針を受け、厚労省は「一億総活躍社会実現本部」を設置。
 必要な介護サービス確保のため、在宅・施設サービスの整備を前倒し、2020年代初頭までに約38万人分増としていた在宅・施設サービス整備計画を12万人分上乗せし、約50万人分増とした。
 また、介護サービスを支える介護人材確保のため、離職した介護・看護職員等の再就職支援を行うほか、介護者の負担軽減のため、介護ロボットの活用等を掲げている。
 次に、働く環境改善と家族支援のため、現在、まとめて93日取得しかできない介護休業を分割取得できるようにする等、介護休業制度を見直す。
 また、働く家族が介護情報を得やすいように、地域包括支援センター等の情報提供機能の強化や相談機能の強化を行う。




(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年12月号掲載)

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