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有料老人ホームの現状(その2)

 先月は有料老人ホームには「介護付」と「住宅型」の二つがあり、その違いについて説明した。今月は有料老人ホーム入居に必要なお金について説明する。


一時金を巡るトラブル多発

 有料老人ホーム利用時に必要な費用には、入居一時金と月額利用料がある。
 入居一時金が無く、毎月の月額利用料のみの有料老人ホームも最近は増えてきたが、一時金が必要な施設がまだ多い。一般に一時金を支払うと、月額利用料を抑える効果があるようだ。入居一時金の金額は、数十万円から数億円と施設によりかなりの幅がある。
 一時金が問題となるのは、入居後、入居者が期待していたサービスを受けられないため退去したり、入居後間も無く死亡したケース。
 このような場合、入居期間が短ければ一時金がほとんど返ってきそうだが、そうならないこともあり、有料老人ホームを巡るトラブルの中でも、一時金に関しては、特にトラブルが多発していた。


一時金返還ルールの確認を

 そこで厚労省は、老人福祉法を改正。一時金は家賃やサービス費の前払金と定義し、入居後3カ月以内に契約終了した場合、一時金から実際の利用期間分の費用を差し引いた額を返還することとした。
 また終身で居住契約を結ぶ場合、施設は「一カ月分の家賃相当額×想定居住期間※+想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備え受領する額」という一時金の根拠を書面で示し、想定居住期間内に契約終了した場合、契約終了から想定居住期間内の利用料相当額を返還することとなっている。
※想定居住期間 入居者のうち概ね50%がその住まいに入居し続けると予想される期間。入居者の年齢や性別、健康状態等から施設が設定する。


初期償却は現在裁判中

 施設の中には、一時金の一部を「初期償却」するところもある。一時金は、家賃やサービス費の前払金のため、入居期間に応じて償却していくのが原則だが、初期償却では、入居後3カ月を過ぎると、一時金の一部が償却(施設により10%〜30%と幅がある)される。
 例えば、入居一時金1000万円、初期償却率10%の場合、入居から3カ月経過後、100万円が償却される。
 初期償却を違法とする法律はないため、制度として取り入れている施設もあるようだが、「何もサービスを受けていないのに、お金が引かれるのはおかしい」ということで、今年春に裁判が起こされ、現在係争中である。
 このように、一時金返還ルールが入居しようとしている施設にあるのか、ある場合、どうなっているか確認したい。


施設が倒産した場合

 有料老人ホームの運営主体は民間企業が多いため、経営が行き詰まり、倒産することもある。この時、一時金の残りは、当然入居者に返されなければならないが、そのための措置を施設が行っているかも重要である。
 老人福祉法上、事業者は倒産等に備え500万円を上限とした返還額の保全措置を講じなければならないことになっているため、これらの措置が取られているのかも、しっかりと確認したい。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年10月号掲載)