ウォーターハンマー対策(その1)
ウォーターハンマーってなに?
キッチン、浴室、洗面所等で「ドン!」、「ガン!」、「コン!」あるいは「ゴン!」、「パシッ!」、と聞こえる「原因不明の異音や衝撃音」の経験はありませんか。また、原因不明の漏水や、シャワーの温度が急に変化したり、給湯器のセンサーが破損し修理を依頼されたことはありませんか。
これらは全てウォーターハンマー(水撃)現象により発生する音や現象で、シングルレバー水栓器具や大型全自動洗濯機、食器洗浄器等の快適さや利便性を追求した水・湯の急閉止を伴う水栓器具や電磁弁を内蔵した家電製品が急速に普及したことが原因として上げられます。更に近年、建築物の高層化、高台への建築、3階建て住宅の普及、住居密度の増加等により、各自治体は給水圧力・給水量を増やさざるを得なくなりつつあり、今後ますます増加する問題です。
ウォーターハンマー現象発生メカニズム
ウォーターハンマー現象はこれら機器の急閉止により、配管内の水や湯が瞬間的に停止させられることによって、流体の運動エネルギーが逃げ場を失い、圧力エネルギーに変換され、配管内に急激な圧力上昇(水圧変動)を招き「過大圧力波」(衝撃波)が発生します。この圧力波は配管や流体を通して瞬間的に遠方に伝播される為(水の場合、秒速千四百メートル以上)、原因不明の異音が原因となる機器以外の場所で発生し、戸建住宅での酷い場合ですと道を隔てた隣家に及ぶこともあります。
集合住宅の場合、生活リズム、考え方の異なる上下両隣を含む隣家との原因不明の騒音・振動トラブルを含む為、精神的な苦痛からノイローゼになるケースも多々報告されており、最近の「キレやすい」個人の増加もある為、圧力変動を抑制する耐久性のある水撃防止器による恒久的な対策が必要とされています。
一般的にハンマーで叩いたような音がする為、ウォーターハンマー現象と呼ばれています。
ウォーターハンマー現象を放置すると…
ウォーターハンマー現象を放置すると、水撃発生の原因である配管内の急激な水圧変動は配管を振るわせる「加振力」となり、配管の固有振動数と一致して共振現象を発生させます。この共振現象は衝撃的で、発生する振動は非常に不快な衝撃音を誘発させ、この衝撃や振動を連続して経年的に供給した場合、配管やそれに接続されている器具や機器、給湯器等の各種センサー類に損傷を与え、漏水事故をも誘発させます。
水撃現象発生の3要素
水撃現象が発生する基本条件は次の3つです。
1 一定以上の配管長
2 一定以上の流量・流速
3 急閉止を伴う器具もしくは急閉止行為
また、配管の曲げの位置や数が多く角度が急でも発生しやすくなります。
1の配管長は、水は質量のある非圧縮性流体の為、配管中の水の絶対重量と慣性の法則の為、重い車が急に止まれず衝突の衝撃が大きくなるのと同様です。
2の流量と流速も車に喩えると、スピードが速ければ停車距離が伸び、また、止まった時の衝撃が強くなるということです。以前、給水圧力が高くなると発生しやすくなると書きましたが、圧力が高ければ流量も速度も速くなる為です。
3の急閉止を伴うシングルレバー水栓は、現在は地震等で上から物が落ちた場合も考慮し、全メーカーが下げたら止まる方式に統一しましたが、このレバーをゆっくり閉めれば水撃は発生しませんが、利便性追求しレバー式にしたのですから遅く閉めることを強制するには無理があります。
器具内部に緩閉止機構を付けたのもありますが、部品が増え故障率が高く製品寿命が短いのが欠点です。
この為、単純構造のシングルレバー水栓器具と小型水撃防止器「メゾン2」や「小無騒」(こむそう)をセットで取付けたり、クレーム対策用に公共集合住宅や大手マンションメーカーでの採用が増えています。
3の急閉止を伴う機器の代表で、水撃発生原因の約半数を占めるのが電磁弁を内蔵した全自動洗濯機ならびに食器洗浄器です。緩閉止の電磁弁を採用したメーカーもありましたが、耐久性が劣り故障が多発し、採用を中止しました。他にシャワーとカランの瞬間切換型は水撃を起し易く、予め耐久性のある水撃防止器をこれら器具の近くに取り付けることを推薦します。
ウォーターハンマー防止器の正しい選び方
前項で触れた様に、ウォーターハンマー(水撃)現象は、シングルレバー水栓、全自動洗濯機の大型化、食器洗浄器の普及等で近年急激に増加しています。これらが、「原因不明な異音や衝撃音」を発生させ、生活リズムや考え方が異なる上下両隣を含む隣家にも騒音や振動トラブルを及ぼし、さらに、配管やそれに接続されている器具や機器、給湯器等の各種センサー類に損傷を与え、漏水事故をも誘発させます。
水撃防止器の正しい選び方
ウォーターハンマーを防止する方法は幾つか挙げられますが、現実的かつ費用対効果で判断した場合、水撃原因となる機器類の近くに水圧変動を抑制する耐久性のある水撃防止器を取付けるのが最も有効的です。現状の水撃防止器
現在日本で販売されている水撃防止器の多くはセントラルヒーティングや大型自動洗濯機が早くから普及し、水撃現象に直面したアメリカにて1960年代に開発された圧縮空気をピストンもしくはゴム膜を介して封入した形式の輸入品やスプリングを追加した物、あるいは樹脂ベローズに置き換えたものです。
これらは封入気体の圧縮性を利用している為、タイヤと同様にゴム膜を通し、またピストンの隙間から、圧縮気体が抜ける為、気体補給や新品との交換が必要でした。左図では5年程効果がある様に読めますが、実際には常に水圧がかっている為、早いもので1年以内、長くて数年で効果が無くなるものがほとんどです。また、ピストン復帰時に金属音を発生させる物もあり、問題が多々あります。
高性能小型水撃防止器
これらの問題点を根本的に研究し、従来方式と全く異なる圧力変動エネルギー抑制方式を採用した小型水撃防止器が「小無騒」「メゾン2」です。気体に代わるエネルギー緩衝材として特殊樹脂の弾性緩衝材を用い、性能と耐久性を飛躍的に伸ばし、高いレベルで維持しています。一生の買物をされ安心して住める水環境を維持するには水撃防止器の性能と耐久性が決め手になります。
急にウォーターハンマーが出て…
マンション等を購入し最初はウォーターハンマーが無かったのにしばらくしてから問題が出始めるケースが多々あります。その主な理由として3つあります。
・既設の水撃防止器の機能が劣化した。
・配管更生工事で流量が増えた。
・地域の住居数が増え、給水圧力が上がった。
これらの問題にも、簡単に取付け、交換ができる「小無騒」「メゾン2」がお奨めです 。
(鈴木栄次 鈴木総業(株)新事業プロジェクトグループ)
2007年にウォーターハンマーの事業は
下記の会社に承継されました。
株式会社 カクダイ
本社:大阪市西区立売堀1-4-4
東京支店:東京都中央区新川1-9-14
http://kakudai.jp