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半透明のガラススクリーンで明かり広がり、風通しの良い空間に

 築34年のマンション。施主夫妻は10年ほど暮らしていたが、子供の就学を機に全面リフォームした。もとは3LDKであったが、ユーティリティ以外は一体化し、広がりと明るさのある、風通しの良い空間となっている。設計者はご主人の同級生である。
 バルコニーからの光と、それを反射するナラの無垢材フローリングの柔らかな色合いが明るく優しい。造作家具の一つであるスタンド型照明は直天井なため、壁と床からの配線に対応するよう設計したものである。




 居間横の板敷きの寝台は、居間との一体感を保ちつつ、板の材質と張り方のパターンを工夫して普通の板の間風ではない洒落た感じがある。寝台の下は収納だが、市販の透明なプラスティック収納ボックスを列車のように連結し、物の出し入れを便利にする工夫がある。窓際は斜めに張り出した空間を活かした小さな書斎スペースで、寝台の縁を椅子代わりとし、書斎道具一式を造作した机に収めたため、すっきりと居心地よい空間になっている。
 広がりを確保する工夫の中でも出色は、ユーティリティを囲う「明かりスクリーン」である。これは水回りと居間との間に設けられた木とガラスのスクリーンで、柔らかな拡散光が大きな照明のように広がっている。キッチンを居間と仕切りつつも上部を開けているので、部屋の中の部屋のように見え、水回りを狭く感じさせていない。洗面所の出入口脇ではガラスの裏側にランプを設けるなど、明かりスクリーンの連続性に配慮しているし、キッチンと洗面所の間は色付半透明合わせガラスにしているので両側で採光し合える。


   


 この家の特徴のひとつに、各人の落ち着く居場所が確保されていることがある。最も良く現れているのが小学生になった子供のスペースである。完全に個室化はしていないので、常に子供の気配は感じられる。居間側から子供ベッドの下を潜って出入りするが、成長後は玄関脇から出入りできるように考えられており、子供との適度な距離感が計画されている。


      


 設計者の繊細なこだわり、さまざまなアイディアや工夫は、家具レベルの正確な造作工事によって現実化し、65mが見事に再構築されている。その工夫は押しつけではなく、家族の要求が丁寧に細かく汲みとられており、温かみある空間に仕上がっているので、訪れる者に爽快感を与えてくれる。洗練された空間である。(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催「第23回住まいのリフォーム」において「住宅金融公庫総裁賞」受賞作品。講評より抜粋)
築後年/34年
総工事費987万円
工事面積/64.5m
設計/一級建築士事務所(有)加藤・橋本建
施工/木遊舎

(集合住宅管理新聞「アメニティ」 2015年11月号掲載)