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URのDIY住宅にみる自分でつくる素敵な住空間

 通常のUR住宅を探していた応募者がたまたま巡り会った、原状復帰不要なURのDIY(DoIt Your Self)賃貸住宅の事例における試み。建築設計を職とする応募者と大学時代からの仲間が集まり、資格が必要な電気配線工事以外は施工業者に外注することなく、ほぼ完全なDIY工事が実現した。住まい手が不動産、設計、施工、施主の一人4役をこなすことで、ローコストかつ豊かでスマートな、住まい手の満足度の高い優れた空間の創出に成功している。


 壁面は珪藻土塗り、天井スラブ面は白に塗装

   

 既存の水平吊り天井を撤去することで、最上階ならではの傾斜屋根スラブを生かした高い天井のスペースが出現した。これに伴って発生した非断熱の壁部分には、既存部分と同等の断熱強化を施している。新たに設置した天井扇によって、大きな空間で問題となりやすい室内上下温度差が解消され、年間を通じて比較的快適に過ごせることが期待される。
 L字型のワンルームへの間取り変更は、住まい手の設計事務所としての仕事場も兼ねた、若い夫婦の日常を支える職住一体型の居場所として、最適なかたちとなった。
 キッチン部分においても既存の面材に木質の素材感を与え、既存タイルの上にボーダータイルを張る等の細かな作業をも行うことで、デザインを一新している。最低限の費用で仕上げているため、部分的には古い公団住宅のままの箇所もあって、高級感とは無縁という感もあるが、全体にDIYらしさを前面に打ち出したテイストには好感が持てる。
 以上のように本作品は、賃貸物件において種々の申請手続きを踏んでDIYリフォームを実現し、空間を新たに「編集」した好例である。このようなDIYならではのリフォーム手法には、越えるべきハードルがあるものの、潜在的には需要は多いと思われ、大いに参考となる点を高く評価したい。今後、URをはじめとする集合住宅ストックにおけるDIYリフォームの普及の可能性が、この作品からは強く感じられる。この成功を機に、事業主体には対象住戸の拡大を望むとともに、応募者には、団地の気軽な相談受付コーディネーター等として、地域に根ざした建築活動も続けられる事に期待する。(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター主催「第32回住まいのリフォームコンクール」空間再編集特別賞「作品部門」入賞作品)(講評より抜粋)


 和室2室とダイニングスペースを繋げ、約20帖のLDKに   



 改装前



 合板フローリング端材を貼って木質化した台所



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 所在地/世田谷区
 築後年数/19年
 施工期間/90日間
 総工事床面積/58m  総工事費/90万円
 設計・施工/(株)スミト 一級建築士事務所

(集合住宅管理新聞「アメニティ」 2016年2月号掲載)