住まい方

今年は阪神・淡路大震災から14年目。この震災以降、行政を始め各方面では様々な防災対策が行われてきたが、その後も各地で大きな地震が発生し多大な被害をもたらしている。


地震原因の一つは、地球表面の「プレート」と呼ばれる固い板状の岩石の層が押し合う力。日本はこのプレートが計4枚集中する地震大国の一つで、どこの場所でも地震が起こりうることを今後も認識する必要がある。また、これまでの経験を活かし実際にどのような被害が発生するか、被災時にはどの様な行動をとるかなどの対策を考えることが重要だ。


首都直下地震の被害想定

東京都が公開している首都直下地震による被害想定では冬の夕方18時に東京湾北部地震M7・3の被害を想定し、死者約5600人、負傷者約16万人、建物倒壊・火災焼失数約44万棟、避難者約380万人、エレベーター閉じ込め約9000台としており、政府では経済被害想定を約112兆円としている。いたずらに不安を煽ることは禁物だが、これらの報告はあくまで地震による直接被害の想定で、実際の災害時に予想される交通システムの停止、関東周辺の化学プラント被災による被害、駅周辺・地下街でのパニックなどの二次被害を入れるとその規模ははるかに大きい。


管理組合の災害対策

建物の劣化を軽減するため日頃から適正な維持管理を行い、建物をできるだけ強く長く保つ対策が不可欠だ。また避難経路の周知や安否確認などは防災訓練や居住者名簿作成などで備える。特に高齢者や病人など災害時要援護者の情報を把握しておくことが重要。  受水槽、配線、配管被害などを想定し、事前に防災対策の組織を編成、救援活動に必要な備品やライフライン停止に対処できる用品などを備えておく。災害時は公的救援活動にも限界がある。地域の連携と自己防衛の意識が大切だ。


マンション犯罪防止のポイント

マンションの犯罪防止の大きなポイントとしてよく挙げられるものは、


家庭内の災害対策

室内の家具は転倒防止対策として固定するか配置を考え、上から落ちて危険な物は乗せない。タンスはなるべく重心が下にくるよう収納する。窓や食器棚などはガラス飛散防止シートを貼る。水と食糧は最低3日分を各自備える。家族の安否確認の「災害用伝言ダイヤル」などは一度体験しておき、家族の集合場所など決めておくと安心だ。


エレベーターの閉じ込め事故

国交省は昨年、エレベーターの安全対策を強化する基準をまとめ、その中で、新設エレベーターに地震発生時にかごを自動的に出入り口扉の位置に止め、扉を開き降りられるようにできる「地震時管制運転装置」の設置を義務付けるよう求めている。これは地震時に発生するエレベーターの閉じ込め事故を防ぐ目的がある。05年に首都圏で起きた地震ではこの装置が設置されていたにも拘わらず閉じ込め事故が73件あった。原因は装置自体、正常に作動したものの地震の揺れにより僅かな衝撃がドアに加わり、それを装置が過敏に感知し停止。保守員が目視点検に来るまで運転休止の状態が続いたもの。同省ではこのような過敏な感知での停止や小さな揺れでの停止を防ぐ装置の改良を求めている。


閉じ込められたら

まずは非常呼び出しボタンを押し防災センターへ連絡。センターへつながり難い場合は携帯電話で家族、知人に連絡。けが人や急病人がいる場合は119番へ連絡する。


パニックにならない

通常、救助が到着すれば10分程度で救出されるが、長時間狭いかご内で閉じ込められるとパニックになる場合も。体力を消耗せず、まずは冷静に行動すること。無理に自力で脱出しようとすることは決してしない。  三菱電機ビルテクノサービスでは休止したエレベーターを保守員が到着するまでの間、自動で異常の有無を診断し、約30分程で復旧させる「エレクイック」というシステムを取り入れている。これにより運転再開までの不自由がごく短時間で解消されることになった。


非常用備蓄ボックス

飲料メーカーのダイドードリンコではエレベーターの閉じ込め事故対策として救助されるまで不安やパニックにならないように、かご内に置ける飲料水や簡易トイレ、AEDなどを備えた備蓄ボックスの設置を提供している。提供条件は自社の自動販売機を設置してもらうことで無料設置でき、メンテナンス費用も無料。すでに企業や病院、市役所などで導入されている。



(集合住宅管理新聞「アメニティ」 2009年1月号掲載)