住まい方

地上デジタル放送開始まであとわずか/地デジ完全移行を目前に死角はないか


 2011年7月24日の地上デジタル放送開始まで残すところ2ヶ月を切った。これまで、一般世帯で地上デジタル化対応がなかなか進まない状況が報道されることもあったが、直前の状況はどうなっているのか、総務省地上放送課で話を聞いた。

なぜデジタル放送なのか
 現状を確認する前に、なぜデジタル放送に移行するのか、理由を確認しておきたい。
 電波は無限に利用可能に思えるが、実際に通信手段として利用できる電波は限りがある。一方で、現在は電波を利用した通信手段が携帯電話の普及などにより余裕が無い状態となっており、今のままではいずれ足りなくなると言われている。
 そこで、現在VHFやUHFの一部で利用されている電波をデジタル化することで、電波の余裕を生み出し、余裕が出来た分を防災や携帯電話サービスの充実などに活用しようとするものである。なお、諸外国においても電波のデジタル化は進行中あるいは終了している国もある。



デジタル放送対応受信機の普及状況は94・9%
 総務省「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」によれば、2010年12月現在、アナログ停波時期の認知度は92・8%、地上デジタル放送を直接受信が可能なエリアが全世帯の約98%となっている。
 また地上デジタル放送対応受信機の世帯普及率は94・9%。これは昨年末の数字のため、今はさらに普及率が進んでいると思われる。事実、デジタル放送対応受信機の普及台数は2011年3月末時点で、1億1131万台と7月の地上デジタル放送開始時の目標1億台を既に超えている。
 普及拡大に一役買ったのは、市町村民税非課税世帯など、低所得者へ地デジ受信チューナー等の支援を行ったことに加え、温暖化対策や景気対策と合わせ、家電エコポイントに地デジ対応テレビを加えたことで、受信機の普及が進んだ。昨秋には、12月以降家電エコポイントが半減されたことから、10、11月の地デジ対応テレビの販売台数は対前年比で320、500%超とポイント半減を見込んだ駆け込み需要も加わり、普及にいっそう拍車が掛かった。
 なお、家電エコポイントが付くのは、今年の3月末までに購入したものに限られ、ポイントの申請受付は5月末、ポイント交換期限は12年3月末までのため、まだポイント交換が済んでいない方は注意したい。



集合住宅のデジタル化対応状況/残された課題は小規模な賃貸集合住宅
 次にデジタル化対応がなかなか進まないと言われた集合住宅のデジタル化率は、2011年3月末現在、東北3県(岩手、宮城、福島)を除く、204万施設(約2010万世帯)のうち、97・4%にあたる199万施設(約1975万世帯)が対応済となっている。一方、未対応は2・6%(約34万世帯)だが、未対応の集合住宅は大都市部に集中しており、特に関東・近畿の比較的古く小規模(10世帯以下)な賃貸住宅で対応が遅れているという。  大都市部、特に南関東で対応が遅れがちであった背景は、もともとVHFアンテナを使用していたため、UHFアンテナに交換しなければならないことに加え、集合住宅によっては、アンテナの交換のみに留まらず、建物内部の配線まで交換しなければならず、費用負担が足かせとなり、対応が遅れていた。特に古く小規模な賃貸住宅では、オーナーの理解が得られにくかったが、改修経費に助成金を出すなどの施策を取った結果「なんとか現在の状況まで持っていくことができた」という。
 デジタル放送開始後も対応が済んでいない状況は十分想定しうるが、それでも最後まで戸別訪問を行うなどして、対応していくということだ。  これまで見てきた印象では、地デジ完全移行に向けた準備は順調に進んでいる。ネットの普及により、情報収集でのテレビの地位は相対的に低下したと言われるが、高齢者などの情報弱者には、いまだにテレビは重要な情報収集ツールである。地デジ化が新たな情報弱者を生まないよう、最後までの対応を求めたい。



共同受信施設の復旧支援
 東日本大震災は大きな被害をもたらし、東北3県(岩手、宮城、福島)では地上デジタル放送開始が延期されたことは知られているが、それ以外にも液状化などの被害を受けた地域が存在する。最後にそのような地域に向けた地上デジタル化対応復旧支援を紹介する。
 震災により、災害救助法が適用された地域(東京都を除く)で、被災した共同受信施設の整備に必要な経費のうち、
・受信障害対策共聴施設の改修等の経費の3分の2
・集合住宅共聴施設の改修等の経費の2分の1を助成する。
 詳細は総務省テレビ受信者支援センター03・6459・2781まで。

 

   

(集合住宅管理新聞「アメニティ」 2011年6月号掲載)