住まい方

本格的な節電対策元年を迎えるにあたって


 東日本大震災から間もなく4か月。福島第一原発の事故により、電力の供給不足と今もなお向き合う生活が続いている。夏場の電力需要期を前に、今まで以上に効率的な電力の使い方が求められる時代になった。そこで、マンション共用部、専用部の省エネ対策について取材した。

今夏の電力事情と目標抑制率
 今夏の電力供給力は、被災した火力発電所の復旧、長期停止中の火力発電所の再稼動などの取組みにより、東京電力管内では今年の7月末時点で最大5380万キロワットの供給力を確保できる見通しとなった。
 これは想定される最大ピーク電力需要6000万キロワット(昨夏7月23日に記録した2010年最大のピーク需要)に約10%少なく、電力抑制は10%で良いように思われるが、余裕を持たせるため、需要抑制率がマイナス15%に設定された。
 7月から9月の平日午前9時〜午後8時までの時間帯に、ピーク電力需要を抑えることが、企業規模や家庭などの区別無く要請されている。また、地球温暖化防止のための二酸化炭素削減という震災前からある課題への対応ともあわせて考える必要があるだろう。


節電対策〜共用部編

共用部の節電、鍵は管理組合

 これから具体的な節電方法を挙げていくが、その前に最も重要なことがある。それは管理組合が節電の方針を決定し、継続した取り組みを行うことである。
 今夏の節電は緊急避難的な事情から取り組む側面があるが、仮に今夏を乗り切ったとしても、次の需要期にあたる冬までに電力事情が改善されているとは考えにくい。むしろピーク時の需給がひっ迫した状況は、もう数年続くと考えたほうがいいだろう。そこで、目前に迫った夏を乗り切るための短期的な方法と、中長期的な方法を考え、省エネに取り組むことが必要となる。
 また、節電に取り組むことにより、方法によっては初期費用が発生するが、節電効果により電気代が削減され、長期的にコストは回収される。これらの事を住民に十分説明し、理解を得ながら省エネを進めていくことが求められる。
 節電法 その(1) 照明
 共用部で特に電力を消費するもののひとつが照明。そこで防犯や安全に配慮することが必要だが、必要の無い照明は消灯する。照明の間引きやタイマー設定が出来るものは、ピーク時間を避けて設定するのも効果的である。
 またカサやカバーが汚れると明るさが低下することから、こまめに掃除することも節電につながる。
 次に白熱電球を使用している場所では、電球形蛍光灯に交換することで、消費電力は4分の1〜5分の1まで抑えることができる。寿命も白熱電球の6倍以上と長く、長期的に大幅な節電につながる。同様の理由からさらに消費電力が少なく寿命も長いLED電球に交換することも効果的である。  節電法 その(2) 空調
 空調も平日午前9時〜午後8時までは設定温度を28〜30度に設定し、あまり人のいない所では電源を切る。ただし無理の無い範囲で。またフィルターが目詰まりすると余計に電力を消費するため、定期的に(月1、2回)掃除する。
 さらに、導入から年月が経過したものはエネルギー効率が悪いため、古いもの(導入から20年が目安)は最新のものに交換することで電気代は半分以下に抑えられる。
 節電法 その(3) エレベーター
 エレベーターも消費電力が多いことから、複数台のエレベーターがあるマンションでは、可能であればうち1台を止める。しかし、高層階に住む人にとって、エレベーターは欠かせないことから、十分な配慮が必要となる。
 また古い油圧式エレベーターを最新のインバーター方式に更新する場合、最大約65%もの電力削減につながる。
 節電法 その(4) 国、自治体などの補助を活用
 これまで紹介した節電法は費用の必要なものと必要ないものがある。必要なものについては、国や自治体の補助制度を活用すればコストを抑えられる。
 東京都千代田区では共用部に省エネ機器を設置する場合、設置費用の20%を補助する制度がある。こういった制度を活用することで費用を抑えた省エネ対策が可能となる。



節電対策〜家庭編

一般家庭で電力消費の多い電化製品は?


一般家庭で電力消費量の多い電化製品は、エアコン、冷蔵庫、照明機器の順になる。
 なかでも使用電力に占めるエアコンの割合は、電力需要のピークとされる午後2時で約50%以上、午後8時でも約40%(2011年5月資源エネルギー庁調査)と他と比べても抜きん出ている(※その他 冷蔵庫=午後2時約20%、午後8時約15%。照明機器=午後2時約4%、午後8時約12%)。



節電の鍵はエアコン

 節電にはエアコン対策が鍵を握る。使用しなければ最大の効果が得られるが、熱中症の心配もあるため無理は避けたい。設定温度を28度にすると同時に、効率的に冷房するための環境づくりをしておきたい。
 基本は、熱を室内に入れないこと。換気の影響が非常に大きいため、換気は必要最小限に。しかし、部屋に熱がこもっていると涼しくなるまで時間がかかり、余計な電力を消費するため、その時は一度換気をし、熱を逃がしてから使用する。
 また日の当るベランダからは、輻射熱が窓を通して入ってくるため、すだれなどを使って、日差しを遮ると効果的。さらに、熱の侵入を防ぐため、カーテンやブラインドを使用して、冷えた空気が窓に触れて再び暖められないようにすることで効率がアップする。



冷蔵庫は詰め過ぎず、照明はできれば新しく


 次に消費電力が多いのが冷蔵庫。基本は温度を中〜やや弱に設定し(冷凍室も同様)、詰めすぎないこと。奥が少し見えるくらいが目安。開閉回数と時間を少なくすることも有効。どこに何を入れたかわかりやすくしておくと良いだろう。
 また冷蔵庫を壁から3センチ程度あけて設置すると、放熱が効率的に行われるため節電になる。
 照明機器は、使用しない部屋の照明を消すのは当然だが、白熱電球を使っている場合は電球形蛍光灯やLED電球に替えるだけで消費電力が抑えられる。購入費用は電気代の削減で相殺されるので、交換を検討してはいかかがだろうか。



家族の団らんも節電に

 今や各部屋にエアコン1台というのも珍しくないが、今年の夏はリビングに家族が集まり、涼を取ってみては。それだけでエアコンと照明の電力が減らせる。家族団らんが最大の節電につながるのかも知れない。



省エネ診断を受ける

 各家庭により、効果的な節電方法は変わってくる。そこで、自治体が行う省エネ診断を受けてみてはどうだろう。東京都では無料で省エネ診断員が家庭に訪問してアドバイスする。
 問合せ先は、03F5388F3422 東京都地球温暖化防止活動推進センター(愛称=クールネット東京)まで。

●浜管ネット震災フォーラム 〜東日本大震災と地元の被災状況、今後の対策〜
 日時/7月21日(木)18時半〜21時半
 会場/横浜市市民文化会館関内ホール(JR関内駅北口歩6分)
 定員/先着250名
 参加費/無料
 資料/正会員管理組合無料、一般1000円
 内容/(1)地盤の液状化問題と被害の状況(2)マンションの地震対策とコミュニティ(3)マンションの建物被害と今後の対策(4)マンションの設備被害と今後の対策(5)大震災と今後のマンション大規模修繕への影響
 問合せ・申込み先=浜管ネット рO45F911F6541 FAX045F910F0210
●NPO住環境保全セン ター 第6回セミナー
 日時/7月31日(日)13時半〜16時半
 会場/ハロー貸し会議室 新宿(JR新宿駅西口歩1分、ハルク隣)
 参加費/無料
 内容/(1)マンションにおけるLED対策(2)特別企画・東日本大震災による千葉県マンションの調査診断の実例と地震保険等(3)個別相談
 問合せ・申込み先=NPO住環境保全センター事務局 03F5625F4390


(集合住宅管理新聞「アメニティ」 2011年7月号掲載)