その他管理業務全般

管理組合の地上波デジタル対応の状況

 

◆「共聴設備の改修」「地域への電波障害対策」ともに遅れが目立つ

 国は、平成23年(2011年)7月24日をもってアナログ放送を終了し、地上波デジタル放送(以後「地デジ」という)に切り替えることにしている。
あと2年たらずで、個人及び管理組合は地デジに対応しなければならない。
  しかし、各マンションの共聴設備の改修は53.1%(「平成20年10月全管連調査」以下同じ)、さらに、地域への電波障害対策を行うマンションの対策設備の改修は13.9%(同調査)と対応に遅れが出ており、予定通りにできるのか疑問がある。
そこで、NPO日住協が加入するNPO法人全国マンション管理組合連合会(以後「全管連」という)で、昨年10月に加盟団体の管理組合を対象にテレビ共聴設備等の改修状況及び電波障害元である管理組合の障害対策設備の改修状況をアンケート調査したところだが、5月13日に全国調査の結果を発表した。
以下に全国及びNPO日住協傘下の概要について報告する。

■共聴設備について
(1)改修実施状況
 地上デジタル放送受信のための改修は(図1)、全国で53.1%(日住協52.7%)のマンションで工事終了している。  改修に要した費用は全国で100万円未満が48・2%と半数近くになるが、日住協では1000万円超が16.2%(全国で4.9%)と団地型マンションが多いことが窺える。
(2)受信方法
 各マンションにおける現在の受信方法(図2)は、全国で共聴設備が56.3%(日住協59.5%)、ケーブルテレビが42.4%(日住協40.5%)となっており、全国とそう違いはない。
 地デジの受信の可否については、全国で共聴設備で可が78%(日住協97.8%)、否が13.1%(日住協2.2%)となっており、日住協会員ではほとんどが対応可能となっている。
(3)ケーブルテレビ等への切り替え時期
 ケーブルテレビの導入が地デジ移行に関係なく、以前から利用しているところが全国で78.7%(日住協21.6%)、地デジ移行のため切り替えたのが14.8%(日住協18.9%)と日住協会員管理組合は全国に比べケーブルテレビ導入率が低い状況にある。
これは、築年が古く、早い段階で共聴設備を導入した団地型が多いという特色が現れているものと思われる。

■受信障害対策用設備について
(1)改修実施状況
電波障害の元であるマンションの地域のための地デジ対応への改修は(図3)、全国で13.9%(日住協33.3%)と改修率は低く、改修費用も300万円未満で60.9%(日住協500万円未満で66.7%)となっており、対策用共聴設備への対応がかなり遅れている。
日住協会員管理組合の費用負担が高めになっており、1000万円超の管理組合も1件ある。
(2)改修が進まない理由
 (1)受信障害範囲調査の実施率が全国で20.4%(日住協33.3%)と低い状況にある。
 (2)近隣との協議終了率が11.1%(日住協22.2%)と低く、協議予定が22.8%(日住協33.3%)という進捗状況である。
 (3)改修費用が500万円未満が全国で90%(日住協55・6%)と比較的軽少ですんだところが先行し、障害範囲が広く、協議が進まない上に多額の費用が嵩むと思われるところには、重荷となってのしかかっている。

■管理組合の意見
◎給付金より切り替え補助金が先決。今後、テレビ関連機器の廃棄物大量発生、高齢者への「地デジ切替詐欺」横行が心配。(北海道)
◎地デジ移行調査で多額の費用がかかることが判明。国民が望んだわけではないのでアナログ放送を停止すべきでない。(北海道)
◎放送切替後、新東京タワーからの放送に対応しなければならない。(東京)
◎地デジは、本来難視聴地域をなくする技術と解釈しているが、地デジ移行後も近隣に対する共聴施設を更新・維持する法的根拠はあるのか。(神奈川)
◎本件はどう考えても国の責任と負担で改修が原則であり、説明会も無く、全管連から強く国に主張してもらいたい。(愛知)
◎近隣住民からデジタル化を要求されているが法的根拠が明確にされない限り態度は決められない。(京都)
◎アナログ放送の延期を。近隣との協議は調停機関がないとできない。(京都)
◎受信障害調査もデジタル障害対策も行う意思はありません。(大阪)
◎地デジのため600万円を総会に諮っているが、国の変更のためどうして我々が負担するのか、半額は国が負担すべき。(福岡)
◎地デジ移行は国の政策であるから、当然国の責任と負担で行うべきである。(宮崎)

■国の対応は
総務省が、今年の3月末現在で把握しているデジタル化状況調査では、集合住宅の共聴施設のデジタル改修実施率は72.2%で、全管連調査の数字より高い数字が出ている。逆に、受信障害対策共聴施設のデジタル改修実施率は11.4%と若干低い数字となっている。いずれにしても、電波障害対策は、改修率が悪く今後の問題になることは必定といえる。
そこで、国のデジタル化への対応施策(電波障害)としてどのような施策があるのか見てみる。
(1)電波障害調査は、国の予算で実施するといっているが、簡易調査で詳細調査は一部のみ。
(2)相談体制整備と紛争処理機関整備を決めた。
(3)改修費用の一部補助制度を開始したが、戸あたり費用3.5万円を超える場合の総額の1/2を補助するもので、管理組合の負担が重荷となる。とくに、3.5万円未満で対応戸数が多いとき、費用負担するマンションの戸数が小さいと多額の負担がのしかかる。
(4)テレビ受信者支援センター(デジサポ)を設置し、相談・調査・助成等を行う。
首都圏のデジサポは次のとおり。

◎東京都中央テレビ受信者支援センター(デジサポ東京中央)渋谷区神山町16―2  03-3468-7957   (区部及び島嶼)
◎東京都西テレビ受信者支援センター(デジサポ東京西)町田市森野 1―22―14  рO42-728-3005  (東京の市町村)
◎神奈川県テレビ受信者支援センター(デジサポ神奈川)横浜市中区日本大通7番地  рO45-633-9558  (神奈川全体)
◎千葉県テレビ受信者支援センター(デジサポ千葉)千葉市中央区中央3―3―8  рO43-201-1008  (千葉全体)
◎埼玉県テレビ受信者支援センター(デジサポ埼玉)さいたま市浦和区北浦和4―5―5  рO48-824-5361  (埼玉全体)
電波障害対策設備を持つ管理組合で、まだデジタル化改修をしていないところは、該当のデジサポに相談されたい。

■疑問にお答え


Q1 テレビ共聴設備を持っており、現在地デジが視聴できるが、地デジ対応はこれでよいのか。
 A 地上波デジタルは、UHF帯です。したがって、共聴設備がUHF対応になっていれば、デジタル対応のテレビなら視聴できますが、アナログテレビではチューナを取り付けるか、地デジ対応テレビへの買い替えが必要です。
また、UHFアンテナにBS受信ブースタ(増幅器)が対応しているか確認してください。

Q2 地デジ放送に切替後、新東京タワーから電波発信になるが、これに対応する費用は誰が持つのか。
 A このことについて、全管連は総務省に国の責任で対応すべきと申し入れているが、国は、電波発信者(東京のキーネット局等)が電波発信地を変更するものであるから、電波発信者が対応すべきもの、と答えています。



(2009年8月号掲載)