東日本大震災発生

首都圏でも広範囲に被害

 3月11日に東北地方、太平洋沿岸を中心に発生した「東日本大震災」は、津波による水没や建物被害、火災などが多数発生し、日本中を混乱に陥れた。死者、行方不明者は2万人を超え、避難所に身を寄せている人は25万人以上に及んでいる。首都圏でも交通機関が麻痺し、街には帰宅難民が溢れ、首都機能停止が現実のものとなった。激しい揺れは都内の建物にも、被害をもたらし、天井の崩落や駐車場倒壊などで死亡者も出た。多くの集合住宅でも断水や停電などライフラインへの被害も発生。未だ復旧作業に追われる建物もある。地震当時の集合住宅での被害状況や対応について以下緊急取材した。


湾岸沿いでは液状化被害が

 首都圏の集合住宅の被害状況は現在のところ建物の壁にヒビが入ったり、一部設備などに被害があったが、構造そのものの大きな被害はみられていない。
 ただし、東京湾岸沿いの建物では、地震によって地盤の砂と水分が分離して水が地面まで上がってくる、いわゆる「液状化現象」が起こり、給排水管の破損などで断水する事態に陥り、ライフラインに大きな影響がでた。
 特に大きな被害を受けた、千葉県浦安市では、現在も、断水と下水道使用制限、ガス供給停止の地区が多く、いたる所で復旧作業が急ピッチで進められている。

     

地面の隆起や地盤沈下で路面が割れ、電話ボックスは大きく傾いた。


 取材した、新浦安の駅周辺は、道路が波打ち、ビルや住宅は陥没により傾き、路面の地割れも多く見られ、今回の地震規模の大きさを表していた。
 また、液状化によって地面から吹き出た大量の砂泥が路肩に寄せられ、乾燥した砂が風に舞い、日中街を覆いつくす状況。
 被害のあったマンションでは住民が撤去した大量の泥砂が現在も敷地内に積み上げられていた。
 浦安市日の出の築22年、630戸の住宅では、液状化により路面が約50センチ陥没。
 下水道管が破損し、今も断水中だ。
 現在、仮設の給水施設で給水対応しているが、完全復旧には半月ほどかかる予定だという。
 また、原子力発電所事故の影響で行われている計画停電についても、同地区は停電実施のグループに入っており管理組合では「ここは被災地なのにほかと同様に停電が行われることは非常に困る」と困惑している。


   

路面から浮き上がったマンホール




 稲毛海岸にある築43年、768戸の住宅は、やはり液状化により路面が陥没し、下水道管が破損。10日間給排水が使用できなかったが現在は復旧している。断水中は市が用意した給水車から水を供給。また敷地内の井戸の水を煮沸して希望者のみに使用。トイレは市が用意した10カ所の仮設トイレで対応した。


M9.0の大地震
浦安市では市域の4分の3が液状化被害


 千葉市美浜区、高浜南地区の住宅では、団地内の道路や芝生に液状化で大量の泥が発生。地盤沈下により、階段入り口の土台コンクリートに亀裂が生じた。管理組合はすぐに被害状況を調査し生活に支障がない事を確認。現在工事業者の手配が困難なため、改めて詳細な調査を行い新年度の事業として修繕を行う予定だという。
 都内でも液状化があった江戸川区清新の築28年、399戸の住宅は、路面の陥没はあったが、水道への影響はなく、路面修理も2日で修復。


建物設備や外周設備に被害も

 千葉県市川市福栄の築37年、151戸の住宅では、高架槽に亀裂が生じ、現在修理中。給水に影響はなかった。また、各戸のボイラータンクの傾きにより水漏れ被害も発生した。2基あったエレベーターは地震直後停止したが、管理員がその場で復旧。住人の閉じ込めもなかった。同住宅はちょうど、大規模修繕工事中だったが工事に支障はなく、現在も工事は続行中だという。


      
  



給排水設備の破損のため敷地内に置かれた仮設トイレ写真



 神奈川県の金沢シーサイドタウンにある築29年、246戸の住宅では地震の揺れで、給水管の空気弁に不具合がでて、異音が起こる「ウォーターハンマー現象」が1棟だけ起きたが2〜3日で収まった。
 埼玉県越谷市千間台の築28年、508戸の住宅では、玄関前に若干の沈みと、共用部ゴミ置場の水道管が破損。2基のエレベーターは、自動復旧装置があったため、閉じ込め被害はなかった。


揺れが大きかった超高層マンション

 東京都荒川区南千住の築21年、666戸、32階建の高層マンションは、専有部のドアに歪みと、階段室の壁に若干の亀裂があったが躯体への影響はなかった。
ただ、最上階は32階ということもあり、揺れはかなりあり、専有部では家具を固定する器具によって壁を破損した住戸もあったという。


地震発生時、管理組合の対応

 管理組合として避難誘導を行ったところも多く、江戸川区の管理組合では、地震発生後、災害対策本部をすぐに立上げ、居住者の安否確認を70名体制で実施。事前に用意していた安否確認シートが活用された。
 千葉県印西市の管理組合では、自主的に避難してきた人や高齢者を近くの学校へ避難誘導。現在、建物の被害状況を目視で調査しつつ、今後の地震に備えている。


    
仮説の給水管設備写真       敷地内に積み上げられた泥砂


 市川市の管理組合では、高齢者や車いす利用者の安全を確保するため、近くの学校へ避難誘導。乳幼児がいる居住者には少しでも不安を和らげてもらうため、集会室へ集まってもらう措置をとった。


計画停電の影響

 東京電力福島第一原発の爆破事故の影響で行われている「計画停電」は実施地区と実施されない地区があることから管理組合でも対応に混乱が生じている。
 越谷市千間台の管理組合は、ビラの配布やスピーカーで連日、居住者へ周知。
 埼玉県幸手市の築32年、79戸の管理組合は計画停電中、給水ポンプが止まるため「その間断水してしまい、日常生活に支障が出てしまう」と不自由を訴えた。
 また、取材の途中、関東各地の浄水場で放射性ヨウ素の検出が発表され、各自治体が乳児に対する水道水の飲用を控えるよう呼びかけを行ったことで、対象地域の管理組合では対応に追われていた。