東日本大震災とマンションの被災

東日本大震災とマンションの被災

首都圏でも様々な被害が浮上
火災の発生はゼロ、立体駐車場損壊ゼロ


 NPO日住協は、会員管理組合に対して東日本大震災緊急アンケート調査を行いました。依頼管理組合数は97。回答を寄せた管理組合数は66、回答率は68%でした。集計結果を報告します。


液状化、エレベーターの停止など

 アスファルトのひび割れや地盤沈下、陥没、液状化などは16件。「数カ所液状化発生」「一部の棟で地割れ」「地盤のズレ」などが報告されています。  建物のひび割れなどは19件で、「妻壁面のタイル浮き」「タイルが(一坪分くらい)剥落」などの報告がありました。  玄関ドア、サッシなどの変形は4件。立体駐車場の損壊はゼロでした。  エレベーターの停止は12件、復旧は早くても翌日で、48時間かかったマンションもあります。地震の際、エレベーターがどのような機能を有しているのか、地震が起きるとその場で停止するのか、もっとも近い階まで動いて停止するタイプなのかを知っておくことが必要です。


給・排水管の損傷

 給水管・排水管の損傷は13件。水道管のエア抜き口から水漏れがあったり、排水管が亀裂して水が噴出、また、地中埋設管が損傷した例が報告されています。
 トイレが使えなくなったのは3件。タンスや食器棚が倒れたのは18件、洗濯機が動き、給水口のホースが外れて水が階下に漏れたという報告もありました。
 火災の発生はゼロでした。こういった二次災害がなかったのが幸いでした。水漏れ事故は5件でした。


大切なのはソフトの充実
防災組織の現況

 「管理組合に防災組織がある」のは43管理組合(75%)。「自治会・理事会・防災対策委員会で構成する『自主防災組織(本部)』がある」「自主防災組織の中核となる『防災対策委員会』は毎月開催」「消火・防災訓練は春・秋に実施」「災害協力隊、年に一度消火訓練、避難訓練、起震車の体験等実施」など、多くの管理組合でさまざまな取り組みをしているようです。
 防災組織が機能したのは43%! 心強い行動力 「今回の地震で防災組織は機能した」のは17管理組合(43%)で、「住民の避難誘導、全戸の安否確認、被害状況の把握と注意事項の始動、復旧に向けての業者対応、などを対策本部を発足させて実施した」「地震後、目視の見回りをした」「在宅の防火委員及び役員経験者が管理事務所に集合」「バルコニー側から居住者の安否確認の声をかける」「単身高齢者を集会所に避難させた」「各戸に声掛け安全確認」「在宅の隊員6名が集合、手分けして外構・建物共用部分を巡回点検」「集会所を開放、緊急避難場所として数家族受け入れた」という心強い管理組合もありました。


建物設備や外周設備に被害も

 千葉市美浜区、高浜南地区の住宅では、団地内の道路や芝生に液状化で大量の泥が発生。地盤沈下により、階段入り口の土台コンクリートに亀裂が生じた。管理組合はすぐに被害状況を調査し生活に支障がない事を確認。現在工事業者の手配が困難なため、改めて詳細な調査を行い新年度の事業として修繕を行う予定だという。
 都内でも液状化があった江戸川区清新の築28年、399戸の住宅は、路面の陥没はあったが、水道への影響はなく、路面修理も2日で修復。


訓練の形骸化を避けたい

 しかし、「日中のため役員がほとんど不在で行動していなかった」と、あまり機能しなかった管理組合も同じ数だけありました。取り組みはしているのですが、実際の震災の時には機能していない点を振り返る必要があるようです。
 「今回の地震を受けて、防災組織は必要だと思う」のは32管理組合にのぼっています。今回の震災経験は今までにないこととして捉えているということの現れです。「日頃の訓練の成果はなかった」のが13管理組合になっています。


もっとできないか 管理組合の防災行動

 管理組合として取った行動としては、「建物の点検等を実施」「建物専門委員と見回り実施」「震災地区への義援金アピール」「飲料用及び生活用水の汲み置きの徹底」「防災会員がパトロールをし防犯に務めた」「一人暮らしの高齢者の安全を確認して避難所に誘導した」「余震等による恐怖を取り除くために、高齢の女性、特に一人居住の方に集会所等を提供し、管理事務職員と理事が付き添った」などがある一方、「特に行動していない」という報告もありました。


管理組合の弱み

 今回の地震で明らかになったマンションの弱みについては、「住民名簿も正確にない」「電話が繋がらなかったのと、自治会役員が団地に必ずしも在宅していない状況で態勢づくりが出来なかった」「防災組織が形式的なものであること」などが報告されています。


管理組合の強み

 次にマンションの強みについては、「対応組織である『自主防災組織』を即座に立ち上げることができた組織力は大きな強みであった。また、この組織を生かし、諸対策を敏速に行うことができた」「一致団結できた」という報告がありました。ほんとうに素晴らしいことです。組織が形だけでなく実際に行動できなければ意味がありません。
 修繕積立金の取り崩しについては、「緊急なので事後承認」とするが20管理組合でした。
 組合員等の怪我はゼロでした。これは、不幸中の幸いというべきでしょう。


高齢者へのフォロー

 高齢者へのフォローは、「住民の内、特に手助けが必要な高齢者については個別に自宅訪問し、安否確認と励ましを行った」「訪問の実施」「各種の運営委員が行動した」「戸別訪問等で安全確認」など、多くの事例を紹介いただきました。


直下型の地震への対応策を具体化しよう

 その他、今回の震災で気づいたことなどについては、「現在、耐震診断を行うかどうか検討中」「組合のリーダーシップが重要」「もし、もう少し大きかったらならば大変なことになっていたと思う」「震度5を超えると恐怖感が出て冷静な行動が難しいこと」「今後、直下型の地震の対応が必要」等の意見があり、まさに震度6強以上の地震が首都圏に発生することを想定しての組織づくり、訓練、啓発活動などを早期に行うことが求められます。


震前、震中、震後 3つの備え

 地震には、震前、震中、震後という3つの備えておくべき側面があります。
 震前とは、もし地震が起こった時の備えのことです。ハード面、ソフト面、さまざまな備えがあります。
 震中とは、いざ地震が起こった時に、どう行動するかを、訓練等で体験し、どこへ逃げるのかといった具体的な自身の行動に備えておくことです。
 震後とは、地震によって被災した時に、どうすべきなのか、水や食料はあるのか、少なくとも3日分は備えておきたいのですが、それらを、管理組合が主導して取り組むことが、今こそ求められています。