先月号の「マンション耐震化の動き」では、東京都が「緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する条例」により、特に沿道建築物の耐震化を進める必要のある道路を「特定緊急輸送道路」に指定し、建築物の耐震診断を義務化したが、先の震災が建物所有者の意識を変え、耐震診断は順調とお伝えした。今月は耐震診断の次に課題となる補強設計・耐震改修の助成制度についてお伝えする。


補強設計の助成制度

 耐震診断により、Is値が0・6未満と判定され、大地震で倒壊の恐れがあるとされた建築物は、どのように補強したらよいか計画する必要がある。これが補強設計である。
 補強設計の助成が受けられる期間は、平成23年度から平成26年度まで。 助成金の額は、
(助成対象事業費)
 A 実際に要する費用
 B 助成対象基準額(延べ面積×助成基  準単価)
のうち低い額に助成率を掛けたもの(助成対象事業費×助成率)になる。
 助成率は3分の1〜6分の5までと区市町村により異なるため、確認が必要となる。

  



耐震改修の助成制度

 耐震改修の助成が受けられる期間は、平成23年度から平成27年度まで。
 助成金の額は、
(助成対象事業費)
 A 実際に要する費用
 B 助成対象基準額(延べ面積×助成基   準単価)
のうち低い額に助成率を掛けたもの(助成対象事業費×助成率)になる。なお、建て替え工事、除却も対象となる。
 助成率は3分の1〜6分の5までと区市町村により異なるため、確認が必要。
 助成率は区市町村により異なると書いたが、区市町村によっては緊急輸送道路耐震化のための補強設計・耐震改修の助成制度がないところもある。
 助成を受けるには区市町村に助成制度のあることが条件になっているが、東京都の条例では、区市町村に制度が無くても3分の1の助成を受けられるようにした。


他県(神奈川・埼玉・千葉)の動き

 耐震化に向けた他県の動きは、東京都のように条例を定めて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めようとする動きは今のところ無い。他県でも緊急輸送道路の指定は既にしているが、そこに特化せず、一体的に耐震化を進めようとしている。
 神奈川県の場合、耐震診断については、進んでいるところもある。しかし、診断の結果、強度不足となれば資産価値の下落に繋がることが懸念され、全体的に見れば足踏み状態のようだ。
 耐震改修となれば、多額の改修費用により、さらに進捗は困難になると各県では予想している。
 財政状況により耐震化の進捗が左右されることがあっても良いのか。国と地方で権限、財源を含めてより良い方法を考える必要があると思われる。


(集合住宅管理新聞「アメニティ」2012年3月号掲載)