9月1日、東京の六本木ヒルズで内閣府主催の「防災フェア2013・マンションシンポジウム」が開催された。シンポジウムで、危機管理教育研究所代表の国崎信江氏は「東日本大震災では、被災地と食糧生産地が近く、被災地への食糧提供は早く行われた。しかし、首都直下型地震が起き、膨大な食糧を物流で賄う首都圏では、地震で道路事情が悪化し、物流の停滞が長引くことで食糧の奪い合いが起こり、災害史上初めて食糧を巡り、人が人の命を奪う事態も考えられる」とのコメントがあった。首都圏では30年以内にマグニチュード7〜8の大地震が80%の確立で起こると予測されており、防災対策は緊急のテーマとなっている。そこで9月号は「防災月間特集」として、多くの受託管理組合を抱えるマンション管理会社の防災対策をお伝えする。

マンション居住者向け「防災ボックス」を開発

 (株)大京アステージは、東日本大震災の被災者の声から学び、防災ボックス「LIFETY KIT」を開発した。
 震災時、同社の管理する東北地方のほとんどのマンション居住者は、マンション内で生活をしていたことから、防災備蓄品は、持ち出さず、マンション内で生活することを前提に開発。
 防災ボックス内には、被災者の声や同社により厳選された、被災時に必ず必要となる「防災備蓄品」のほか、非常時に家族の連絡先・勤務先がわかる「家族情報メモ」、この「防災備蓄品」以外に、居住者が必要な「防災グッズ」を補充する際に参考となる「マンション向け防災用品リスト」が入っている。
 箱は幅28cm×高さ23cm×奥行き38cmとコンパクトな大きさで、物入れやクローゼットに納まりやすくなっている。



各家庭仕様にまとめられる「防災ハンドブック」作成

 日本ハウズイング(株)は、「自宅の安全対策・備蓄品」「住まいのマンションについて」「安全確保の方法」など、各家庭が必要な事項を書き込みながら、災害への「備え」を再認識できる「防災ハンドブック」と、災害時、家族との集合場所や災害伝言板の利用方法などが記載された「携帯カード」を作成した。
 同ハンドブックに自分の手で必要事項を書き込むことで、防災意識の向上を図ることを目的としている。




 また、ハンドブックを自分の手で完成させてもらうことで、防災訓練を行う際に、なぜ訓練が必要なのか、居住者に納得しながら訓練を受けてもらうことに繋がり、参加率の向上にも寄与しているという。他に、防災訓練と同時に防災グッズの販売会も開催し、備蓄品を準備する機会も提供している。  同社では、管理マンションだけでハンドブックを利用するだけでなく、ハンドブックを同社ホームページに掲載し、プリントアウトすれば誰でも使えるようにしている。

イベント実施でコミュニティ形成促進

 (株)長谷工コミュニティは、「マンション打ち水大作戦」と銘打ったイベントを実施している。
 同イベントは、国土交通省・環境省の後援で、2003年から始まった「打ち水大作戦」を日本初の試みとしてマンションで実施したもので、同社の管理マンションを対象に2008年から開催し、今年で6年目。
 同社が先導役となって、居住者のエコに対する意識を高めるとともに、災害時に重要な住民同士の交流やコミュニティの活性化を目指している。

問われる「個人」と「管理組合」の「自助」力

 大震災発生時、管理会社自身も被災者となり、受託管理マンションに十分な支援はできないことも考えられる。
 「公助」の体制が整うまでの、マンション居住者及び管理組合自身の防災対応力(自助)が問われている。


(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年9月号掲載)