平成17年の個人情報保護法施行により、個人情報保護の意識も高まり、事業者の取り組みも進んだが、法の趣旨の誤解から、名簿の作成ができないなどの弊害も生まれている。そこで東京都生活文化局は、10月18日、個人情報保護制度の説明会を事業者向けと一般都民向けに行った。管理組合活動に関連する点を、要約してお伝えする。


法を守るべきは誰か

管理組合も個人情報取扱いには配慮が必要

 同法を守らなければならないのは、個人情報を「事業」の用に供し、過去6ヶ月で5000件を超える個人情報を扱う民間の事業者。
 業種や営利、非営利を問わず、また法人、団体、個人も事業者に含まれるため、管理組合も対象となる。管理組合が5000件超の個人情報を扱うことはあまりないため、実際には個人情報取扱事業者に該当しないケースがほとんどである。
 しかし、該当しない場合でも、同法第3条の「個人情報は(中略)適正な取扱いが図られなければならない」とする法律の「基本理念」は適用されるため、5000件に満たない個人情報の管理組合でも、その取扱いには配慮が求められる。

プライバシーポリシーの作成を

 個人情報の取扱い方針を表明したのがプライバシーポリシー(個人情報の取扱い方針)である。
 プライバシーポリシーは各管理組合の活動内容にあわせて作成し、居住者の目に付きやすいところに掲示するなどして周知を図り、管理組合の個人情報の取扱いに対する考え方を明示する必要がある。

プライバシーポリシーの作作成上の留意点

 居住者名簿の作成が個人情報保護法のため作成できないという話も聞かれるが、マンション管理上必要で、かつ管理組合役員及び組合員間で扱う名簿の作成まで法は規制していない。
 しかし、管理組合がどこまでの個人情報を(住所、氏名、電話番号、等の個人情報の範囲)、何のために(管理組合活動、緊急連絡等の利用目的)収集するのかプライバシーポリシーに明記し、情報取得に対する居住者の理解を求めることも必要である(その他プライバシーポリシーの留意点は別表参照)。
 また、名簿を配布するとき、ある人が配布された名簿への記載を望まない場合、管理上必要な管理組合役員が使用する名簿には残しても、特別な事情がある場合などは本人の意思を尊重し、組合員に配布する名簿からは削除するという配慮も必要である。
 次に、個人情報保護で問題となるのは個人情報の第三者への提供である。これは当然、本人の同意無しには行えない。
 しかし、日常生活で個人情報の第三者提供の必要に迫られることもある。例えば、居住者宅を訪れたい人が部屋番号を尋ねる場合だが、このような細かいケースまで想定し、ルールを作成しておくことで、本人の同意が無くても情報提供は行える。
 また、同法上災害時など本人同意がなくても第三者への提供が認められることがあることも知っておくべきだろう(別表参照)。
 これらについてもプライバシーポリシーに盛り込むことが必要とされている。

災害用の要支援者名簿は自治体に問合わせを

 東日本大震災以降、災害時の要支援者対策も管理組合には重要なテーマになっている。
 そのような背景を受け、国は「災害対策基本法」を改正し、区市町村に、要支援者名簿の整備を義務付けている。また本人の同意を得た上で、区市町村は、要支援者名簿を「消防、警察、民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織その他の関係者」に提供でき、現に災害が発生、または発生のおそれがある場合は、本人の同意がなくても名簿情報を提供できることになっている。管理組合が「自主防災組織」や「その他の関係者」と認められれば、自治体から情報の提供を受けられる。
 総務省によれば、平成23年7月現在、要支援者名簿を作成した自治体は約9割とのことだが、要支援者名簿の作成を考える管理組合は、まず自治体に問合せを。


活用と保護のバランスを

 クラス会名簿など、個人情報は人と人の交流を円滑にするツールであり、災害などの非常時には、互いに助け合うためにも重要である。
 現状は、やや保護に重点が置かれるあまり(法の過剰反応)、交流を阻害している面も見受られるため、法の趣旨をよく理解し、個人情報の活用と保護との両者のバランスを取ることが必要であると強調していた。




(集合住宅管理新聞「アメニティ」2013年11月号掲載)