本格的な少子高齢化社会の進展に伴い、マンションの維持・管理を今後どうするかが大きな課題となっているが、7月に東京都の住宅政策審議会(会長:小林秀樹千葉大学大学院教授)は、「東京におけるマンション施策の新たな展開について」の答申素案を示し、7月中に都民からの意見を募った。
 本答申素案は、同会が東京都知事から諮問を受け、特に「都民の主要な居住形態として広く普及している分譲マンションについては、老朽化したストックが今後急増する見込みであり、管理の適正化や円滑な再生に向けた取組みの強化が必要」との認識が都知事から示されたため、同会内にマンション部会を新たに設置し、この素案としてまとめ上げたものである。
 東京都には全国の分譲マンションの4分の1が存在し、都のマンションの課題は、その他の地方が抱える課題を先取りするものである。そのため、都の実施するマンション施策は、全国のマンション施策をリードすると考えられる。そこで、答申素案のポイントを2回に分けて掲載する。


「答申素案」のポイント

●マンションの管理・再生を巡る状況

1.マンションストックの状況について
・東京都内のマンションの総戸数は約168万戸と総世帯数の約4分の1となっており、都民の主要な居住形態として普及している。
・ストックのうち、旧耐震マンションは約36万戸(約1.2万棟)と推計され、都心部や多摩地域でその割合が高くなっている。
・旧耐震マンション(約1.2万棟)のうち、耐震診断実施率は17.1%、耐震改修実施率は5.9%となっており、大規模なマンションほど高く、小規模なマンションほど低い。
・着工から40年以上経過したマンションは2013年時点で約12.6万戸、10年後の2023年には約42.8万戸にまで急増する見込みとなっている。
・概ね築40年以上のマンションでは、建築後の法改正等により、約4割が現行の容積率を超過し、単独での建替えが困難となっている。

2.マンションの管理等の状況
・居住者の高齢化(世帯主が60歳以上の割合/2008年・39%↓2013年・50%)が進行中で、築年数の経過したマンションほど、その傾向が進み、将来、管理不全に陥るマンションが増加する恐れがある。しかし、その実態把握が困難な状況にある。
 以上の現状を受けて、今後マンション施策を進める上での考え方を以下のようにまとめている。


●マンション施策推進の基本的な考え方

・マンションの適正な管理や再生のための改修や建替えに取り組む主体は管理組合であり、管理組合が自らの責任と自助努力で進めることが基本である。
・管理が良好なマンションや、改修等が施されたマンションが適正に評価され、管理組合の努力が報われる取引市場の形成を図ることも必要である。
・マンション再生には改修、建替え、建物敷地の一括売却など様々な手法があり、区分所有者や管理組合がマンションの状況に応じた最適な手法を選択できるよう、環境整備を図る事が重要である。
・マンションは都市の活力や魅力、防災力の形成など、高い社会性を有しており、その適正な管理や再生を促すことは、公共性、公益性の観点からも重要であり、管理組合は、適正な管理や再生に向けた努力等を通じ、地域社会に対する責務を果たす必要がある。
・行政は管理組合の取り組みを専門家や関係団体等と連携しながら支援する。特に管理不全マンションや耐震性不足マンション等を放置することは、周辺市街地に悪影響を及ぼすため、積極的に改善に向けた働きかけを進める必要がある。

 来月は、マンションストックの状況や施策推進に当たっての基本的な考え方を受けた、具体的な施策について掲載する。



(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年8月号掲載)