先月は、都の住宅政策審議会マンション部会が素案をまとめた「東京におけるマンション施策の新たな展開について」のマンションストックの状況と、マンション施策推進の基本的な考え方を掲載した。
 今月は、それらを踏まえ審議会が提言した、都が重点的に講ずべき具体的施策について抜粋して掲載する。


具体的な施策(主な提言)

1 マンションの適正な管理の促進

○管理状況の実態把握と管理不全の予防・改善
・管理不全の兆候のあるマンション等を把握するため、一定の条件に該当する場合、管理組合が行政に対して、管理状況を定期的に報告する制度を創設すべきである。
・管理不全の兆候が認められるマンションに対しては、重点的な支援・指導を実施し、改善計画書の提出及び履行状況の報告を求めるなどの助言・指導等を行うことが必要となる。
・ただし、管理不全の判定や改善指導等の実施に当たっては、公正中立な第三者の専門家の意見を聴くなど、慎重を期すことが重要である。
・マンションに深刻な懸念が生じているにも関わらず、行政の助言や支援を受け入れない管理組合に対しては、新たな条例を制定し、管理組合による管理状況の報告等の義務付けや行政に調査、指導権限等を付与することを検討すべきである。

○管理の適正化に向けた市場の環境整備
・マンション購入希望者に当該マンションの管理情報が提供されることは、取引適正化の重要な前提となり、管理組合にとっても、管理情報が開示され、管理状況が市場で適切に評価されれば、適正な管理を行う上でのインセンティブになる。
・都がマンションの評価サービスとして実施している優良マンション登録表示制度(建物共用部分の性能と管理の両面において、一定の水準を確保する分譲マンションを「優良マンション」として認定・登録し、公表する制度)の普及に向け、表示方法の改善や優遇策等を検討すべきである。
・既存マンション取引時の管理情報が市場に広く開示されるよう、都独自の管理情報の表示ルールを設けることも検討すべきである。

2 老朽マンション等の再生の促進

○合意形成の円滑化に向けた再生支援策の充実

・多様なマンション再生手法(建替え、改修、建物敷地の一括売却等)に対応した助成制度や税制優遇措置の拡充等、管理組合や区分所有者を支援するメニューを用意するべきである。
・住宅の確保に特に配慮が必要な高齢居住者等に対する支援の強化(仮住居や住み替え先の提供・あっせん等)を実施すべきである。

○まちづくりと連携したマンション再生支援

・敷地条件や建築規制により建替えが難しい相当数のマンションの存在に鑑み、都市開発や市街地整備手法等を活用し、敷地の統合・再編による共同建替えやマンションを取り込んだ都市開発等を誘導する仕組みの充実を図るべきである。
・今年度、3地区で事業を実施している先行モデル事業の成果を踏まえ、実効性の高い(仮称)マンション再生まちづくり制度(都と区市町村が連携し、まちづくりと一体となってマンションの再生を促す)を創設すべきである。

○重点的・集中的な耐震化の促進
・都又は区市町村が指定する緊急輸送道路や避難路の沿道のマンションなど、公共性、公益性の観点から、耐震性の確保が特に必要と考えられるマンションについて、対象を重点化し、集中的に施策を実施すべきである。



提言の実現に向けて

(1)マンション施策の推進に関する計画の策定
(2)財源や人材の確保
(3)国、区市町村、公社等関係諸機関、専門家、民間企業等と多様な主体との連携強化を行い、提言の実現に向けて、新たなマンション施策の着実な展開を図っていくことを求めたい。
 今後、同会では、7月中に募集した都民からの意見を参考に、9月頃を目途に答申をまとめる予定となっている。(おわり)



(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年9月号掲載)