毎年9月は防災月間。東日本大震災から4年半が経過し、防災意識が薄れつつあると言われているが、近い将来発生が予測される首都直下地震や南海トラフ大地震への備えを再認識する機会としたい。そこで今月は、大規模地震発生時に大きな被害をもたらす可能性があるものの、一般の認識が進んでいない「電気火災」について考える。


意外に多い電気火災

 大地震が発生したとき、まずは、机の下などに身を隠し、家具等の倒れやすいものから身を守ることが最優先される。
 次は火を出さないこと。ガスを使用していた場合、揺れが収まったら火を止め、元栓を閉める。ガスメーターは、ガス使用中に震度5以上の揺れを感知すると、自動的にガスを遮断する。
 一方、電気は自動的に止まらない。そのため、地震の揺れで電気ストーブの上に可燃物が落ちた場合や、停電が復旧し、スイッチが入った電気ストーブが点火して可燃物に燃え移り出火するなど、電気が原因の火災は多い。



 別表1にあるように、大地震の出火原因のうち、兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震ともに、電気が原因の火災は60%を超えている。
 このように、大地震で電気が火災原因となることは多いにも関わらず、経済産業省が首都圏居住者に実施したアンケートでは、電気火災を「知っている」が34.3%、「聞いたことはあるがよく知らない」等が65.7%と、電気火災への認識は進んでいない。

有効な対策は感震ブレーカー

 大地震が発生した時、各住戸でブレーカーを落とせば電気火災は防止できる。しかし、部屋に物が散乱し、パニック状態になっている中で、ブレーカーに気を回すのは、困難なことが容易に想像できる。
 そこで、電気火災対策として期待されているのが感震ブレーカーである。
 感震ブレーカーとは、大きな揺れを感知すると自動的に電気のブレーカーを落とすもので、大きく分けて以下の3つのタイプがある。
・分電盤タイプ(分電盤内蔵のセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを落として電気を遮断)
・コンセントタイプ(コンセント内蔵のセンサーが揺れを感知して、当該コンセントからの電気のみを遮断)
・簡易タイプ(感震機能の無い分電盤に地震の揺れで落下する重りなどを付けてブレーカーを操作し、電気を遮断)
 しかし、これら感震ブレーカーの認知度は、「知っている」の28.6%に対し、「知らない」が71.4%と、電気火災同様認知度は低い。
 電気火災防止には、感震ブレーカーの普及が不可欠だが、普及率は約7%程度と進んでいない。そのため国はチラシを作成し、感震ブレーカーの普及に尽力している。


 電気火災防止啓発チラシ(出典:内閣府ホームページ)

マンションにも感震ブレーカー

 大地震が発生した時、マンション住人は地域避難所の受け入れ対象になっておらず、地震後もマンション内での生活が想定されている。しかし、電気火災で火事となれば、マンション内での避難生活はままならなくなる。
 できれば、管理組合が音頭を取って、マンションの各戸内に感震ブレーカーを設置し、電気火災を防止するのが望ましいのではないか。



(集合住宅管理新聞「アメニティ」2015年9月号掲載)