東日本大震災から間もなく5年。時間の経過により、防災意識が薄れつつあると言われるが、いつ来るかわからない首都直下地震への備えを怠りなく行いたいもの。そこで本紙は、昨年9月号で、「電気火災」についてお知らせした。今月は、「電気火災」予防が期待される「感震ブレーカー」について、お伝えする。


電気火災の発生箇所

 大地震が発生したとき、まずは、机の下などに身を隠し、家具等の倒れやすいものから身を守ることが最優先される。
 大地震発生時、電気火災は居室の中でも、図のような箇所で起きると想定されている。
 居住者がブレーカーを切り、電源を遮断することで電気火災は防げるが、地震直後の物が散乱し、混乱した状況では、そこまで気が回らないことも十分予想される。
 また、居室に誰もいない時に地震が発生した際には、手の打ちようが無いのが現実だ。
 そのため、地震時に一定以上の揺れを感知した場合に、自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」が電気火災防止の有効な手段として考えられている。


               図 電気火災発生箇所


感震ブレーカーの種類と特徴

 感震ブレーカーは、大別すると「分電盤タイプ」「コンセントタイプ」「簡易タイプ」の3種類に分けられ、これらの特徴は次の通りである。

◎分電盤タイプ(約5〜8万円)

 分電盤に内蔵されたセンサーが揺れを感知し、ブレーカーを落として電力供給を遮断する(写真1)。
 設置には電気工事士による電気工事が必要。標準的な分電盤は、センサーが揺れを感知した後、一定時間後(通常3分後)にブレーカーが落ちる。建物の中の人は、避難用照明が付いているので、建物からの避難や電気製品の電源を切る等の安全確保を行うことが可能。


  写真1

◎コンセントタイプ(約5千円〜2万円)

 コンセントに内蔵されたセンサーが揺れを感知し、当該コンセントからの電力供給のみを遮断する機器(写真2)。他のコンセントには、通電が継続される。住宅内で、特に出火の危険の高い電熱器具が接続されているコンセントを中心に設置することで、避難用照明等、地震時でも必要な機器への電力供給は継続可能。
 電気工事が必要な埋込型と、コンセントに差し込むだけのタップ型がある。


  写真2

◎簡易タイプ(約3〜4千円)

 感震機能を持たない分電盤に、一定の揺れ以上で落ちる重りや、感震センサーによるバンドの作動によりブレーカーのノブを操作し、電力遮断を補助する器具(写真3)。揺れの感知と同時に作動する。器具取付けは電気工事不要で、比較的容易に設置可能。


  写真3

全戸設置に意義がある感震ブレーカー

 首都圏で大地震が発生した時、その被害はかなりのものになると予測されている。避難所も現状のままでは少なく、多くの避難所で人が入りきれないと予測されている。そのため、建物が堅固なマンションでは、建物内で生活を送ることが期待されている。
 しかし、建物が無事でも、火がでればその前提は崩れる。大地震後では、消火活動も遅れると予想され、一戸から出た火が燃え広がると予測される。そのため、管理組合が「感震ブレーカー」の全戸設置を主導することが期待される。



(集合住宅管理新聞「アメニティ」2016年1月号掲載)