国交省2017年度予算概算要求・2017年度税制改正大綱より

1.少子高齢化・人口減少に対応した住まい・まちづくり

 急速に進む少子高齢化が問題とされて久しい。
 少子化には、若者や子育て世帯が希望する住宅を選択・確保できる環境や、地域ぐるみで子どもを育む環境を整備し、若年・子育て世帯が安心して暮らせる環境の実現が必要となる。
 そのため、既存の公的賃貸住宅団地の建替え等を契機に、子育て支援施設や福祉施設等を誘導する場合や、地方公共団体等の定める計画に位置づけられた住宅団地等が、子育て支援施設等の整備を行う場合、国の支援が行われる。
 子育てしやすい環境整備のため、若者が既存住宅を取得し、建物の長寿命化等に資するリフォーム支援も盛込まれた。
 また、急速に増える高齢者が、住み慣れた場所で元気に住みつづけられる環境整備も必要なことから、自立型のサービス付き高齢者向け住宅や、医療・介護等の地域のサービス拠点となる施設の整備に支援が行われる。
 特に、急速な高齢化への対応が喫緊の課題となる大都市部では、既存のUR(都市再生機構)団地を活用して、医療・福祉施設等を誘致し、地域の医療福祉拠点化、既存住宅のバリアフリー改修や、高齢者世帯向け住宅等の供給に対する支援が行われる。
 このように、既存の住宅団地等の周辺に、子育て施設や高齢者向け施設を集約することで、子どもから高齢者まで、多様な世代が安心して暮らせる環境を整備する。
 これらの施策に対し、
【地域居住機能再生推進事業376.73億円】
【スマートウェルネス住宅等推進事業376.2億円】
【長期優良住宅化リフォーム推進事業45億円】

等の予算措置がとられる見込みとなっている。

2.災害時に強い安全な住まい・まちづくりの推進

 南海トラフ巨大地震、首都直下地震の発生が予想されるなか、災害に強いまちづくりが喫緊の課題となっている。
 そのためには、旧耐震建築物の耐震化が必要だが、2013年時点の旧耐震建築物の耐震化率は約82%。政府は、耐震性の無い住宅を2025年までに概ね解消することにしている。
 目標達成のため、住宅・建築物の耐震化を地方公共団体と連携してより一層推進し、耐震診断義務付け建築物への重点的・緊急的な支援措置等を引き続き推進するために、
【耐震対策緊急促進事業 140.6億円】
の予算措置が行われる予定となっている。
 また、税制面でも耐震化を支援するため、耐震診断が義務付けられる建築物の耐震改修に関する特例が3年延長される。
 この特例は、耐震改修を行った住宅(区分所有マンションも含む)で、耐震改修費用が一戸あたり50万円を超えた場合、建物部分の翌年分の固定資産税が2分の1となるもので、当初、2018年3月31日までとされていた特例の期限が、3年延長される見込みである。

3.良質な住宅ストックの形成と流通促進による住宅市場の活性化

 量的には充足している住宅。今後は既存住宅の質の向上が必要だが、質の高い中古住宅流通市場の整備が、既存住宅の質の向上を促す。
 そのため、既存住宅ストックの長寿命化とともに、若者が既存住宅を取得し質向上に資するリフォームを支援する。
 中古住宅の流通が進まない要因に、中古住宅の傷み具合等に対する不安があることから、現況を把握するインスペクション(建物調査)に係る技術の開発・高度化、その情報の蓄積・活用を図るとともに、インスペクションが適切に活用されるよう、インスペクションの実施体制の整備や利用者への普及・啓発が行われる。
 さらに、長寿命化等の取組を行った住宅が市場で適正に評価される流通・金融等も含めた一体的な仕組みの開発等に支援を行うことで、良質な住宅ストックの形成と既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を図る。
 これらの施策に対し、
【長期優良住宅化リフォーム推進事業45億円】
【インスペクションの活用による住宅市場活性化事業3.5億円】
【住宅ストック維持・向上促進事業12億円】

の予算措置が行われる予定となっている。
 また、既存住宅の質向上を税制面から支援するため、長期優良住宅化リフォーム特例が新設される模様だ。
 既存住宅の耐久性向上リフォームが行われ、長期優良住宅認定が受けられば、自己資金でリフォームを行った場合、所得税の税額が最大50万円、ローン利用の場合は62.5万円控除される。また、工事翌年度の固定資産税が3分の2減額される。
 これらは、今月召集される通常国会で審議される。

(集合住宅管理新聞「アメニティ」2017年1月号掲載)