防犯・防災対策

災害時の管理組合の取り組み 集合住宅の防災対策

今年に入り、四川大地震につづき、国内でも岩手・宮城内陸地震の発生によって、あらためて災害危機に対する備えの重要性が認識されました。
特に、一つの建物に多数の住人が生活する集合住宅居住者にとって、大規模災害のリスクは一戸建て住宅と違った多様性を持っています。
また、管理組合では突然の災害に対し、日頃から対策をしっかりと立てておくことは必要不可欠という認識が高まっています。
しかし現状、危機管理のための対策をしっかり立てている居住者や管理組合は、それほど多くありません。

行政の取り組み

東京都中央区では2007年から区内に新築された敷地面積100m2以上、10階建て25戸以上の高層住宅について、防災用備蓄倉庫、地震対応エレベーターの設置などを義務づけています。
具体的には発災直後から3日間建物内で自立した生活が可能となるよう、5層以内ごとに規定の備蓄倉庫の設置、受水槽には流出防止用の止水弁の設置、エレベーターは停電時、地震時の閉じ込め防止策を講じた構造の物の設置などです。

管理組合の取り組み

相次ぐ大規模災害発生の中、マンション管理組合は、どのような対策をとっておけば良いのでしょうか。
4月に行われた日住協の防災セミナーから、いくつかの管理組合の取り組みを見ました。

●プライバシーに配慮し現況届け回収率100%/高幡芙蓉ハイツ
高幡芙蓉ハイツ団地管理組合(東京都・日野市・220戸)では2002年以来、毎年12月全戸一斉に「安否確認用居住者現況届」の回収を実施しています。
同組合の役員は1年交代で新役員が決まるため新任の役員が挨拶回りも兼ね、1軒ごとに届出用紙を手渡しします。回収も各号棟の理事が1軒ずつ訪ねて受け取りを行いその際の対話がコミュニティ形成にとって最も重要とのこと。この様な戸別訪問により一部では困難とされる名簿づくりを毎年100%の回収を可能にしています。
回収される資料もプライバシーに十分配慮して毎年総会終了後に理事長が全て回収し、住民立会いのもとシュレッダーで破棄されます。
また、震災時に竪管がはずれ、トイレの排水が出来ないことを想定し、各戸で使用するポータブル簡易トイレと屋外用テントトイレを用意しています。

屋外用の簡易トイレ


●受水槽施設を防災倉庫に 充実した機材を保管/並木2丁目第九住宅
並木2丁目第九住宅自治会(神奈川県・横浜市・246戸)では受水槽施設を利用した防災倉庫におよそ200種類に及ぶ機材を保管しています。中でも災害時にトイレを屋外の下水道に設置するための「油圧式マンホール蓋開閉機」は重いマンホールの蓋を安全に開ける事ができます。

油圧式マンホール開閉機(参考)


●確認票と避難完了シートで安否確認/みさと第一住宅
みさと第一住宅管理組合(埼玉県・三郷市・688戸)では震度5以上の地震が起きた時、安全確認担当者が住民の安否を確認するための「安全確認票ファイル」を用意しています。また、避難時に各家庭で電気、ガス、水道などのチェックを記入し玄関ドアに貼ることのできる磁気式の「避難完了シート」を全戸に配布。薬の副作用歴などが記入できる「SOSカード」を希望者に配布しています。
この様な取り組みを参考に、既設マンションの管理組合でも今後、備蓄品の見直しやライフライン対策など、日頃から危機管理の意識を持つことが重要です。


確認票 避難時ドアに貼付


(2008年9月号掲載)