年の暮れが押し迫った12月。冬至を迎え、日が最も短くなり、また年末年始も近づき、買い物等で家を空ける機会が多くなるこの時期にマンションの防犯を考えてみる。


最近の犯罪 発生の状況

 警察庁によれば、平成14年に刑法犯の件数は、戦後最悪の約285万件を記録したが、翌年から減少し、昨年は約158万件と8年連続で減少。
 次に犯罪の中でも侵入・窃盗の件数は、平成15年以降減少に転じ、昨年は約13万6千件で、前年比マイナス8・0%とこちらも8年連続で減少している。住宅への侵入・窃盗も平成16年以降減少しており、平成22年は約7万5千件で前年比マイナス8・4%と、連続して減少しているが、一日あたり200件もの侵入・窃盗が起きており、少ないとは言えない数字となっている。

  


侵入者は窓からやってくる

 侵入窃盗事件はマンションでは全国年間約8千件発生。
 侵入犯の侵入経路は、「窓からの侵入」が55・3%と最も多く、(「表出入り口」は35・9%)窓でも掃出し窓が多い。
 次に侵入手段は「ガラス破り」が35・3%でガラス対策が重要なことが分かるが、「無施錠」が36・1%と最も多く、基本的なことではあるが戸締りを確実に行うことも重要だ。
 また、ベランダが連続するマンションは、横の移動も容易なため、一度侵入を許してしまえば、被害が拡大し易い。どんな時でも施錠するという基本に忠実なことが求められる。


ガラスの防犯対策

 侵入手段で最も多い「ガラス破り」を防ぐためには、防犯ガラス、防犯フィルムが有効な対策となる。
 防犯ガラスとは、2枚以上のガラスの間に、柔軟で強靭な中間膜を挟み接着したガラス。破片が飛散しにくく、バールなどで破ろうとしても、貫通しにくいなどの特徴がある。
 防犯フィルムは、既存の板ガラスに柔軟で強靭なフィルムを貼ることで、万一破損しても破片が飛び散らない特徴がある。
 国民生活センターが行った調査では、一般の板ガラスは、窓用補助錠を併用しても容易に開けられ、防犯性は望めないが、防犯ガラスは、それだけでは5分以内で開けられてしまうものもあるが、補助錠を併用することで高い防犯性能が認められた。また、防犯フィルムは、錠周辺のみに貼り付けると容易に侵入を許してしまうが、窓全体に貼り付け、かつ補助錠を併用することで、開けるのに5分以上かかり、高い防犯性能が認められた。
 5分というのは、侵入者が工具等を用いて侵入を始め、5分かかると7割が侵入を諦めるという時間。警察庁や国土交通省などで構成する「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が「防犯性能の高い建物部品目録」として公表した建物部品は、この基準を満たしている。
 これらは、「防犯(Crime Prevention)」の頭文字CPが図案化された共通標章が付けられている。
 またこれらの建物部品のなかには、断熱性や遮熱性を期待できるものもあり、防犯対策に合わせて省エネ対策にもなる。


防犯フィルム(ウインドウフィルム)       防犯ガラス(合わせガラス)


コミュニティで防犯

 物理的な対処と同様に、効果的な方法が、しばしば本紙でも取り上げている「良好なコミュニティ」である。
 侵入者が犯行を諦める理由に「近所の人に声をかけられた」が6割と最も多い理由であった。
 万が一を考え、出入り口や窓に防犯対策を施すと同時に、コストがかからず、最も有効な対策が日頃から近所づきあいのある「良好なコミュニティ」であることから、ハードとソフトの両面を強化していくことが最良の防犯対策となるようだ。


(集合住宅管理新聞「アメニティ」2011年12月号掲載)