新マンション事情

地方におけるマンションの建築計画と販売の特徴

大都市圏におけるマンション建設の特徴は、立地条件、建設規模も多様だから、端的に述べるのは困難だが、地方都市では高層の高々150戸以下の1棟型が大半であり、特に最近数年間は、建設立地が空洞化した中心市街地に集中しているから特徴を把握しやすい。
群馬県について概略して述べると以下の如くなる。@以前に多かった投資対象のワンルームが殆ど姿を消し、ファミリー向けの3LDKが中心で、100uを超える大規模住宅も頻繁に出現するに至った。A建築基準法の改正で廊下やベランダの奥行きが広がったのも最近の計画の特徴だ。さらにB駐車場の機械化が進み、4段式、5段式も多く、狭い敷地で効率的に駐車場を確保可能になった。商業地でも駐車場率100%は普通で、200%も登場した。Cオートロック方式の玄関、見せ場となる玄関脇のラウンジ、管理事務所設置は標準タイプとなったが、100戸を超える規模でも集会所なしの計画が多々あり、組合運営に不安を感じさせる事例が少なくない。D駐車場設置が優先し1階に住宅や店舗を計画することが殆ど無くなった。販売リスクの回避と、シャッター街に新設の空き店舗を加える必要はないとの判断であろうが、商店街の分断が気になる。Eペット飼育可、オール電化住宅、免震型なども普及した。バリアフリーは当たり前で計画水準が上げられたように見えるが、I敷地内に立ち木や花壇、芝生などの緑や人のたまり場となる外部空間が乏しい。

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販売の特徴は@全国展開型のデベロッパーの一時的進出では代理販売が多く、さらにまとめ買いし再販している業者もいる。この場合は瑕疵交渉相手が曖昧だ。A修繕積立金基金は普及しても金額は低く、さらに月々の修繕積立金を極端に安く設定している場合が多い。B機械式駐車場は販売促進上の理由から月々の負担を軽く見せ、低額か、ゼロとしている場合が多々あり、将来駐車場が機能不全に陥る恐れが強い。C管理費負担感を軽減する仕組みも巧妙だ。駐車場収入を管理費に繰り入れる方式で販売する場合も少なくない。一見購入者の経済負担を軽減するかに見えるが、もともと管理会社が高い管理費用を簡単に稼ぐのが目的で、企業利益を優先した結果だ。駐車場の機械更新はもちろん困難だ。D委託先の管理会社はデベロッパーが指定するのは従来どおりであるが、県内に支店や営業所がない場合が多く、東京などからの遠隔管理となりやすい。売買契約時に重要事項の説明があるが、法律に違反しなければ問題点に言及する義務はない。売り逃げ業者と選別能力が乏しい購入者と無関心な行政の組み合わせで、良質なストック形成が可能かは疑問だ。ところで群馬に進出した業者の多くは大都市圏に拠点を置く。同一業者のマンション計画や販売手法を追跡すると全国どこでもほぼ同じだ。大都市圏ではマンションの質、計画規模、業者も多様だから、問題化しやすい計画や販売があっても目立たない。御用心。(つづく)

(2008年3月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)