新マンション事情

分譲マンション価格半減期

中古マンションの相場は築年数、広さ、立地が強く支配する。もちろん管理組合の努力も大事だが外観には表出し差別化されないかぎり意外と評価の対象となりにくい。同じような立地、広さなら新築マンションを頂点にして経過年数が大きくなるほど中古価格は低下するが、平成15年の首都圏の公的分譲集合住宅660団地の集計では平成2年〜平成15年の間の価格低下率が「古(築年数)、遠(遠距離帯、バス便)、狭(占有面積)、階段アクセス」住宅の低下率が大きいことを確認した。公的分譲集合住宅であったから同年代同士では仕上げ面の差は小さいものと仮定した。
もとより新築段階では都心部から多数の住宅難民を受け入れるに対して、中古段階では周辺部の需要の有無が価格の決め手になる。ところが郊外では借家が少なくマンションの平均規模より周辺住宅の平均規模の方が大きく、遠隔地になるほどその乖離幅は大きくなる。バブル崩壊後、都心からの遠隔地での価格低下が激しい理由は、地元需要がわずかしかない状態に加えて都心からの購入者が途中下車する傾向が強まり、さらに遠隔地の居住者の都心志向が強まったから、「遠、狭」住宅は中古市場で顧客を失ったことによる。特に都市膨張で伸びきった市街地の先端に位置するマンションでは、管理組合の努力に関わらず顧客喪失の影響は大きい。
これを都県レベルで比較を試みた。方法は都内、都下、埼玉、群馬の4地域の主として民間分譲マンションの分譲時期別価格単価比較であるが、ただし都内、都下、埼玉は西武新宿線、西武池袋線、東武東上線沿線マンションに限定した。群馬県は全マンションである。結果、いずれも経過年数が大きいほど、中古単価が低下するが、低下の仕方に特徴が見られるのである。2004〜2009年の各平均単価を1として逓減状況を比較すると0・5に達する年数は群馬12年、埼玉17年、都下24・5年、都内33年である。3鉄道沿線が必ずしも文字通りの都内、都下、埼玉を代表する訳ではないが、仮にそれぞれの全域で集計した場合や、起点を新築価格に置き換えた場合でも都県ごとの価格半減期の差が縮小する可能性は少ない。群馬はもともと低単価の上、価格が半減する期間がわずか12年では維持管理の意欲が所有者にわき難い。低所得層に置き換わるのも早い。大規模修繕を実施しないまま空き家化したマンションもあるから、いわば住み潰し型多発地域である。

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ところで価格半減期の違いはマンションの需要構造の地域差に起因するが、群馬県が決して例外でなく大都市圏外では極めて普通の状態だ。札幌市や仙台市などの大都市でも住みつぶし型が多々見られる。
適切な維持管理が必要なことは言うまでもないが、それだけでは低価格化に歯止めが利かない。都市計画、住宅政策の観点からの見直しが必要だ。現在200年マンションを政府が検討しているが、私には検討の順序が間違えているとしか思えない。  (つづく)

(2008年8月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)