新マンション事情

住民の無関心、管理組合の形骸化、不法行為の蓄積、スラム化の悪循環事例

1970年代に分譲、165戸、地方都市、1階に15店舗、内半分が空き店舗だ。年間2店舗ほどが交代し、長く続かない。古いマンションであるが店舗前には店舗の来客用車場が30台程度ある。居住者用の駐車場はない。過去には火災もあった。現在2組のヤクザの親分が居住し、何れも黒ずくめの子分達が朝玄関まで親分の外出を見送りに来る。ヤクザに入居を斡旋したのは理事でもある不動産屋であるが、責任を感じていない。ヤクザ対策に弁護士を導入したが全く役に立たない。借家は半数を超える。
元管理人の女性は東京の業者が倉庫代わりに持っていた住宅を200万円で購入し、内装を施した。リフォーム前は風呂桶も無かった。
開発業者の資金繰りが苦しく分譲前に下請け業者に工事費代わりに押し付けた物件であった。埼玉の管理会社が無資格(管理主任資格試験に落ちた)になり契約解除を会社から申し出た。突然止められては引継ぎができないので半年契約を延長した。あとから不正経理がぼろぼろ続出した。元インテリ女性理事長は外部に居住し、プライバシー保護と称して住所も電話番号も秘密。ヤクザ以外でも様々な不法行為をするマンションでは、電話番号・住所を教えたくない気持ちを理解出来るが、管理組合は機能しにくい。役員会は頻繁に行っていたが、不在家主の理事が半数で、殆ど定数に満たないから本来は全ての決定が無効のはずであった。前の男性理事長は、大事な時に出張が多かった。役員の一人が敷地の一部を不正登記で自分の所有に書き変えた。集会所は特大だが役員会以外の使用は殆どない。そもそも分譲時点からおかしなマンションであった。分譲主は同じ敷地内の土地の一部を竣工後に別の業者に売り払い、そこに焼肉レストランが現在営業している。建築確認申請している時はマンションの土地であったはずだが、その後の土地の処分については居住者に断らず行っていた。2度土地を売買したことになるが住民は登記簿の変更には殆ど気がつかなかった。さらに残った土地の一部を役員(ヤクザの入居を斡旋した人物で不動産業者)が勝手に書き換えをして自分のものにしている(マンション西端の駐車場7台分程度、そこの一部2台分をごみ置き場として管理組合が借りている形となり、年間20万円を払っている。ロッカールームも別の不動産屋(一階で開業している)が勝手に個人に売りつけた。

 

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当該マンションの北側廊下から隣接にある焼肉レストラン屋上とレストランの客用駐車場を見る。分譲時点ではマンションの敷地の一部であったはずだが、住民が気づかない内に、デベロパーは第三者に土地を売却してしまった。


その部屋の電気代、清掃費を管理組合は今も払っている。不正な行為は不正を働く人が理事のときに行っているので、周りは気がつかない。今も理事になっている。これほど住民の権利が犯されて放置している管理組合も珍しい。さらに不正経理が異常なほど多い。管理費等の滞納の多さにも悩まされた。いや悩んだり怒ったりした多くのまともな人なら既に転居した可能性が高い。残った多くの居住者は無関心だから何も悩んでいないのかと言ったら言いすぎだろうか。修繕積立金が十分貯まっていないので、当分亀裂だらけの外壁を直せない。滞納問題解決が先だ。(つづく)

(2009年5月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)