新マンション事情

人口構成と住宅市場の変動
団塊ジュニアが30歳代を通過した後の住宅都市問題

 わが国の人口は平成16年に1億2778万2000人のピークを示した後、しばらく停滞を繰り返した後、人口減少の軌道を描きつつある。平成20年時点では前年度に比べて22万人の減少に過ぎないが、人口予測では減少人数が次第に拡大する。2005年の人口指数を100とした場合の2035年の全国の指数は86・6で東京都が100を割るのは2035年以降である。一見大きな人口変動に見えないが、問題は子供が減って老人が増えるのだから其のことが産業や教育、医療福祉、税収に大きく影響するのは周知の事実である。実はマンションの供給や維持管理、建て替え問題にも強く影響する。この影響は意外と早く現れる。今後、5〜10年以内に分譲マンションの空き家化が大きな社会問題になる恐れが強い。理由は団塊谷間後半世代が30歳代を通り過ぎた後の少子化世代が30歳代に到達すると、住宅需要全体が大きく低下するからである。大学全入時代に至って、各地で弱小大学の経営悪化だけでなく、倒産が増えているが、この世代が借家の空き家化を引き起こしているから、30歳代に到達すれば分譲マンションストックの選別はより厳しくなることは十分予想される。図は平成22年の各5歳区分の世帯主人数を100とした時の平成32年時の指数である。東京都では30歳〜39歳が22年時より26〜27%も減少する。平成32年時点では団塊谷間後半世代は47歳以上に移動している。この谷間後半世代は平成17年時点で32〜39歳で、ミニマンションブームを支えた世代であるが平成32年以降ではもはや住宅購入の主力層にはならない。ただし、都心の高額物件への住み替え層を増加させる可能性はあろう。世帯数の増減は結婚、離婚、死亡のほか世帯分離、同居、社会移動など多様な要因が重なるから、必ずしも各5歳区分の年齢別世帯主数が平行移動する訳ではないが、短期間で見るほど過去の世帯主年齢構成の形を引き継ぐ。その年齢構成の移動変化が住宅の過不足を作り出す。ただし、地方では人口流出が激しく団塊ジュニアの山が消えた場合(例秋田)が多い。若い世代の人口流出が慢性化した地域では、新たな住宅需要を喚起しない。


   ところで、人口要因でマンション需要が減少すれば、新規マンションだけでなく、中古の買い手、借り手も減少する。既に都市拡大の人口圧力が低下し、都心方向に人口が吸引されつつある大都市圏内の遠隔地やバス便団地、長期経過・小規模・階段室アクセス住宅の選別が強化されつつある状態だ。郊外ではマイカーショッピングの普及が近隣商店街を衰退させ、さらに郊外に立地する製造業の空洞化問題がマンション市場に影を落とす。
 マンション管理を決して疎かにしてはならないが、都市のあり方に誰も責任を持たなければマンション管理組合の維持管理努力が空振りになる恐れが強い。敷地内に限定した努力ではもはや限界に近づいている。都市計画法・建築基準法改正に向けてマンションの関係者は積極的に発言すべき時期に来ている。なお、年齢別人口の増加率で見た方が教育、医療、福祉、労働、交通需要等の予測に対応しやすいが、ここでは割愛した。(つづく)


(2010年10月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)