新マンション事情

結婚しない、子供を産まない日本の未来は
200年マンションより先に日本沈没か

 都心と郊外遠隔地のマンションの持ち家居住者の単身化が急速に進んでいることは、アメニティにもこれまで掲載してきた。単身化が進む原因は未婚、離婚者の増加と高齢化で配偶者が死別することによる。このうち女性未婚者のマンション購入が都心部で目覚しいのである。50歳の未婚者を生涯未婚者として定義するが、それは50歳以降に結婚する割合は1%にも満たないことによる。この生涯未婚率は年々増加の一途である。平成17年の国勢調査では男性が15・2%、女性が7・2%であるが、2030年には男性は29・4%、女性は22・5%に達する。東京都における平成17年時点の未婚率はそれぞれ19・3%と12%だから、東京都の2030年の男性生涯未婚率が40%前後を占めても不思議ではない。平成17年時点での男性の生涯未婚率が高い区は荒川区30・9%、中野区30%、台東区29%で、なお過疎地の桧原村38・6%、奥多摩町33・9%である。2030年にこれらの区が50%を超える恐れは十分ある。地方から東京に来てそのまま住み続けた未婚者の数が上乗せされている。

 ところで未婚者で住宅を購入する女性は男性より多い。女性は計画的に貯金し、自分の将来を見据えて住宅購入する。購入住宅の9割は分譲マンションである。安全と立地イメージを重視する。生涯未婚女性は学歴も収入も生涯未婚男性より高い。食えない女性は食える男性と結婚できても、食える女性は自立を選ぶ傾向が強いから、食えない男性は必然的に余る。事実、生涯未婚男性は総じて所得が低く、職業も不安定だから、借家住まいが多い。住む場所・空間が女性と違うのである。男性は50歳になっても結婚の意志を持つ場合が多いから、持ち家を取得する場合は、郊外の1戸建てが多い。それで結婚できる確率は僅かだから痛ましい。女性のマンション購入が過度に増えた場合、コミュニティーは大きく変質する。子供が居ないのだから近所付き合いは必要最小限にならざるを得ない。孤独死も心配だ。得体の知れない存在では空き家より不気味だ。ただし近年では単身女性が管理組合役員として能力発揮する場合が少なくないから、うまく付き合えば戦力になる。
 単身化を加速する理由に離婚があるが、離婚原因の多くは経済問題だ。離婚後の居住地は男女とも男性の生涯未婚者と同じである。男性離婚者の数が女性離婚者より4割程度少ないが、これは男性が子供の親権を放棄する場合が多く、再婚しやすいからと推測できる。離婚男性が初婚女性と再婚すれば、未婚男性はなお相手を見つけ難くなる。おまけに出生率低下が未婚男性の増加に拍車をかける。歪んだ人口構造が悪循環の主原因だ。
 結婚するか否か、何人出産するかは個人の選択の問題だが、75年後の日本の人口は6000万人と予測されている。日本の将来が心配だ。今年生まれた赤ちゃんが75歳になった時に誰が老人の面倒を見てくれるだろうか。労働者の数が激減している。海外で生活できれば心配ないが、皆が皆可能な訳でない。そこで6000万人ほどの外国人労働者を日本に招くしかない。マンション内の標準語が英語か中国語になる時代が来るかも知れない。(つづく)

(2010年11月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)