新マンション事情

超高層住宅における超低価格中古の出現について
ステイタスの維持はほんの一瞬

 大震災が起きて超高層住宅に不安を持った人々は多いが、一方今回の震災では倒壊などの大規模被害はなかったから、帰宅難民化するのを恐れて都心の超高層の購入希望者が増えるとの観測もある。購入者の意識変化については、諸説あり、傾向を見定めるにはもう少し時間が必要。多分首都圏における超高層ブームはまだしばらく続くとの認識で超高層住宅の隠れた問題点を論じたい。
 東京では超高層は資産価値が下がらないと信じる人が多い。確かに都心立地の超高層住宅は値下がりしにくい。超高層だから値下がりしないのではなく、都心立地であれば普通のマンションも値下がりしない。ところが東京大都市圏の郊外では普通のマンションが激しく値下がりしているのだから、超高層住宅も例外でない。地方都市ではさらに顕著で、東京区部の3倍の速度で値下がりしている地域が珍しくない。図は仙台市における超高層住宅の管理開始年別、平成11年7月現在の中古広告のm2単価と新築物件の販売m2単価である。新築物件が高額は当たり前としても、1993年に仙台駅から10km圏内のニュータウンの中にランドマークとして建てられた32階建てのA超高層住宅は68・24m2で380万円の広告が出ている。さらに同じマンションで470万円、500万円が続く。分譲当初の値段は高く、購入者は高額所得層であったらしいが、ここまで低価格化した理由は、鉄道計画が具体化する前にAマンションが立地するニュータウンが見切り開発したことによると言われている。



 鉄道計画が頓挫し、購入者の期待が裏切られたのは事実であるが、Aの後ろに立地が違うB、C、D、Eが追随して値下がりしている状況を鑑みると、計画の頓挫だけでは説明できない。最近の都心回帰がニュータウンの衰退に拍車をかけたこと、もともと地方都市では地価が低いため、広い敷地の戸建て住宅を取得できる。車社会化しつつある郊外では1世帯に2台必要なことなどが大きく影響しているようだ。マンションの需要層が単身者に絞られつつある地方都市では、マンションの生き残りは地震災害が無くても懸念される。近年竣工した多くの超高層住宅は仙台市の中心市街地に集中している。従ってこれらストックがAマンションと同じ経年減価の道をたどるとは考えにくいが、一方、人口減少が加速すれば中心市街地立地が必ずしも安心を保証する訳でない。ゼロサム社会では新築の高額物件が供給されたら、供給分だけどこかで余る。実は都心と郊外遠隔地は空き家の集積所になりやすい。ランドマークの超高層が貧困のシンボルになったら、ニュータウンの再生は一層困難になる。
 なお、青葉区の分譲マンションの中古単価は15年程度で新築分譲単価の半分になり、さらに30年程度で1/4になる。相場の形成は維持管理の努力より経過年数が支配的である。なぜなら築年数で価格の絶対額が小さくなれば、維持管理による差はさほど意味を持たなくなるからである。
 高経年化マンションの価格低下は今始まった問題ではないが、超高層マンションも例外でない。普通のマンションでさえ建替え困難であるから超高層なら尚更である。将来手入れの悪い超高層住宅をいつも見せつけられるとしたら都市住民は不幸である。(つづく)

(2011年9月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)