新マンション事情

マンション居住者の短身化はどこまで進むか
地方都市では空き家化も重なり易い

 平成22年に実施した国勢調査結果の一部が10月26日に公表された。全国の持ち家共同住宅居住者の単身世帯率は平成12年が19・4%、17年で24・1、22年で25・6%であったから、17〜22年の単身化の勢いは12〜17年に比べて1/3に低下。鈍化した原因が人口構造上の要因か社会的要因(姉歯事件、リーマンショック)かは、不確かである。
 東京都を除けばマンション密度が低い地域ほど、単身世帯率が高い。ところがマンション密度が年々高まれば単身世帯率が低下する訳でもない。12〜17年の増加率は開発後発県の方が先発県より大きかったが、17〜22年では傾向が逆転して先発県の方が大きく伸び、底上げの傾向が見られた。居住者の高齢化による単身化が影響しているようだ。
 12年の最高は秋田県の33・8%で、17年は秋田県の44%、22年は福島県の44・8%であった。福島県の12年は29・7%、17年は39・3%であったから、急速に単身世帯化したことになる。但し、開発後発県はマンションが少ないから単身世帯率の順位入れ替えが激しい。



 東京都は31・8%と隣接県に比べて高い値を示すが、東京都の多摩地域に限定すると23・4%に過ぎず、隣接県と同程度の値を示す。特別区では34・4%で、さらに都心区に限定すれば40%を超す区が多い。地価が高い東京都心区に単身者が集中し、家族世帯が隣接県に押し出された形である。
 政令市の中心区の場合、単身世帯率が高いのは東京都の中心区と同じ傾向だが、但し多くの県庁所在市では市内を細分化して集計することができない。マンション開発後発県では安い戸建て住宅の購入が可能な為、子供がいる家族世帯がマンションを購入する割合は低い。車社会化が進行した地域では共働き夫婦でも2台車が必要だから、駐車場不足のマンションを敬遠せざるを得ない。どの地域でも古いマンションに配偶者を失った女性高齢者が蓄積しやすいのは共通しているが、一方東北、北陸、北海道の雪深い中山間地では高齢単身者にとっては通院・買い物が大きな負担になる為、徒歩またはバスで通院・買い物が可能な安価な都市部の中古マンションを取得する場合が少なくない。もちろん親族近居も選別の条件になり易い。東京都や京都市、札幌市等の中心区では働く独身女性が新築・中古に限らずマンション購入する場合が多く、超高層住宅も例外でない。女性の為のマンション購入講座が頻繁に開かれている位だから、大都市と地方都市、中心市街地と郊外では同じ単身者でも、客層は違うことが推測される。なお、男性の未婚単身者は郊外または東京の下町に多く居住し借家居住が多い。住宅購入した場合でも郊外の戸建てが多い。結婚への夢を持ちながら、そのまま高齢化する場合が少なくない。女性は見切りが良いからマンションを購入する。
 さて、単身者が増加した場合、マンション内の人間関係、管理運営、防災体制への影響が心配である。高い管理費さえ払えば、居住者間の人間関係が無くても管理会社はある程度の管理サービスを遂行してくれる。しかし、経済的困窮者を集めて単身化した場合、問題マンション化する恐れが強い。問題マンションだから単身化が進む側面もあるが。(つづく)

(2011年12月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)