新マンション事情

集合郵便受けの管理と空き家問題
身元不明の集合体

 空き家が少ないマンションでは空き家の場合に名札を外すか、不在の札を入れて空き家を明示する場合が多い。ただし、空き家が多くなると、郵便物・配達物が郵便受けから溢れ出しマンションの不名誉にかかわってくる。
 近年では居住している場合でも単身者は郵便受けに名札を入れない場合が少なくない。この場合は管理組合が空き家住戸の場合のみ何らかの目印をつけて空き家の郵便受けに配布物・郵便物を投入しないよう配達員に知らせている場合がある。
 管理人が常駐している場合は徹底しやすいが、私信が含まれる場合もあるから、独断で抜き出し処分出来ない。鍵がかかっている場合の抜き出しはなお困難である。一切の郵便物チラシを入れさせない手っとり早い措置は投入口をガムテープでふさいでしまうことだが、多い場合に空き家多数マンションであることを自ら公表することになる。管理人がいる場合は管理人に全ての郵便物、チラシを渡してもらい、管理人が郵便受けに投函する仕組みにしている場合もある。この場合は郵便受けに一切の名前が掲示されていない。名札は普通は名字だけであるが、時折フルネームで統一して示している場合もある。女性名が7割を占めるほど多い、管理人に聞くと30歳代40歳代の独身女性が中心とのことであった。交通利便な場所では水商売が多いようだ。プラスチックの厚版に名前を彫り込んだものから、紙切れにボールペンで書いたもの、古くなって紙が黄色くなって名前が読み取れないものなど、郵便受けの状態で管理組合、管理会社の対応の違いが見える。
 郵便受けが壊されている事例も目立つ。新調しても1週間で全てが壊される分譲マンションが群馬県大田市にあったが、これは企業が雇用している外国人を狭い住戸に宿舎として多数詰め込んでいるケースであった。
 外国人に聞くと給料未払いや不当な労働を強制している企業のようだ。悪徳雇用主ではバンダリズムに走っても無理もない。1974年築ながら、2011年に37年ぶりに初めて大規模修繕を実施した。ところが就労ビザのない外国人を政府が本国に強制送還したから大半の住宅が空き家化した。郵便受けも更新したが、今度は壊す居住者がいない。
 つい最近は60戸のマンションの郵便受けから空き家数を推測し、管理事務所で確認したら、ぴったりと一致した。借家数は当たらずとも遠からずであったが、いつも一致するとは限らない。ただし空き家が多い少ないかはある程度推測可能である。
 それにしてもチラシを配る人は貯まっている所に無理やりに突っ込む人が多い。一杯の所にさらに突っ込むには時には熟練技術も必要だ。蓋を壊しているのはチラシ配布屋さんですかね。ただしノルマ達成が目的だから無駄は関係ないようだ。
 郵便受けに名前が無くチラシで溢れている上、玄関にも表札がない場合があるが、それで空き家と速断してはいけない。電力メーターは動いているし、中からテレビの音声も聞こえる。ドアをたたくと今留守とのこと。
 一体だれが住んでいるのやら。身元不明者が居ても周囲は気にしない。なるほど、指名手配になったらマンションに居住するのが一番良い。(つづく)

集合郵便受け

(2012年12月号掲載)
(高崎健康福祉大学教授 松本 恭治)