新マンション事情

73.管理会社なしでは管理できないマンションが増えている/高層化・巨大化は住民組織を無力化する

 昭和40年代に公団分譲が独壇場の時に、質より量と言われ、画一的な建物のデザイン、南面均等配置、建物ごとの規格住宅型が主流であった。通常商店舗は分譲団地の外に計画された。大規模団地では建物の高さの違いごとに管理組合が分れていたから、単棟であれ、複数棟であれ長期修繕計画を立てる際に大きな障害は少なかった。住宅管理の公平性を担保する上ではまことに都合が良かった。
 ところが民間分譲が増えるに連れて、収益最大化を図る目的で、1棟内に多様な住宅型が混合し、立地によって店舗や事務所が併設された。さらに敷地形状、高さ制限、方位に合わせた多様な形の住棟デザインが増えた。大規模超高層マンションでは豪華なラウンジ、宿泊室、展望室、プール、図書室、フィットネス空間を用意し、さらにフロントサービスを多様化することでリッチな夢の気分を与えた。
 近年大規模化によること、複合化すること、情報化することで、管理の場ではより専門的な知識・技術と豊富な経験が要求されるに至った。自主管理は例外化し、管理会社への依存度を高めている。管理業務が複雑化している上に人間関係の疎遠化が進行しているから仕方がないが、ただし委託しても問題が全て円滑に処理される訳ではない。近年の大規模開発では専門家の知識や経験だけでは乗り越えにくい区分所有法上の盲点が次々増えて来たからである。 建築計画から見ればA:高さが大きく異なる建物の混合、B:戸数規模が大きく異なる建物の混合、C:非住宅施設の複合、D:竣工年度が大きく異なる建物の混合、E:1棟内で賃貸階・分譲階に分れる場合、F:人工地盤や共用施設等で繋がった分譲棟と賃貸棟又は分譲棟と非住宅棟に分れる場合などである。
 ただし棟数の認定が困難な場合も生じる。構造的に独立して居ても、階段エレベーターが片方に無ければ棟として独立は不可能である。では両方にあったら2棟と認定するかは状況次第で解釈が分かれやすい。
 大規模化するとAの事例が増加する。多少の高低差なら費用の差を無視できるが、超高層と低層のタウンハウスで戸当たり修繕費用を均等化していた事例がある。これほどの高低差でなくても、高さ混合は意外と多い。多くはどんぶり勘定である。Cの事例は市街地再開発事業で多い。問題になるのは衰退しつつある地方都市に建つ場合で、テナントが撤退した後、長期空きスペースとなった場合である。管理費等の長期滞納が起きたら上階マンションの修繕実施も困難になる。面積が超高層住宅3割、足元に病院7割の1棟の事例では多数決ルールは機能しない。病院が倒産したら多分住宅は道連れである。Eの事例はURの再開発事業及び、民間の等価交換事業でしばしば発見できる。賃貸階の居住者はいわばお客さんであり、防火避難訓練にも無関心が多い。修繕をURとの話合いで決定し、多数決ルールは機能しない。問題に対処するには運営の工夫、問題を想定した規約づくりが必要である。全体管理組合と、棟別修繕委員会方式、棟別管理組合と共有物管理の連合管理組合方式などであるが、何れも完璧でない。昔に戻れと言う訳に行かないが、設計・販売の段階から管理を考えるべきだが、それには管理の専門家が設計段階から入るのが良い。(つづく)



(2014年1月号掲載)
(松本 恭治)