新マンション事情

76.管理組合の修繕積立金+管理費の徴収額限界/中古の値下がりと費用適正化の衝突点

 マンションストックが蓄積するに連れて、初期の分譲マンションは老朽化、高齢化、中古の価格低下等が進行し、修繕積立金の値上げが困難化しつつある場合が少なくない。金額を維持できれば良い方で、切り下げる事例も多く、大規模修繕の延期、または無計画状態に陥っている事例も少なくない。そこで震災直後にインターネットで宮城県の中古物件広告を検索し、管理費と修繕積立金を竣工年別に集計した。狙いは低価格化が進む分譲マンションがどこまで修繕積立金や管理費の支払いが可能かを見定めることにあった。
 まず、県内マンションの概況を述べる。(1)管理組合の平均戸数規模は80戸程度で竣工年別に大きな変化はない。(2)個々の住宅規模は高経年物件ほど小さく、中古のm2単価は滑り台のように曲線を描いて落ち込む。(3)修繕基金を積み立てるのが最近の分譲時の傾向だが、10年で取り崩すと仮定した場合、平均月m233円程度となる。(4)民間分譲マンションでは駐車場収入を管理費に繰り入れるのが普通である。
 これらを前提として管理費・修繕積立金の竣工年別月m2単価を読む。まず(1)修繕積立金が大きく山型に変化するのに比べて、管理費の変化は緩い。(2)管理会社から見れば修繕積立金額を低くしても企業収益に直結する委託経費を大きくしておきたいが、そのイニシアチブは販売側が持つ。駐車場収入を管理費に繰り入れるのも悪しき戦略である。従って実質の管理費は徴収管理費より大きい。
 以下主な結果である。(1)近年の新築時の修繕積立金単価は驚くほど低い。(2)修繕基金設置が過度に低い修繕積立金額を許容している。とは言え(3)新築後、年々修繕積立金が引き上げられ、宮城県では2回目の大規模修繕実施前後で最高に至る。その後は金額が低下するが、(4)その理由は、所有権者の支払い能力の低下と管理組合の機能低下である。ただしこれらは平均的傾向で、個別の金額は分散化する。
 ところで、首都圏の大規模公団分譲住宅から見れば、m2160円程度が最高到達点とするには低すぎる。昭和40年代の公団分譲住宅では修繕積立金のm2単価は260円程度が相場だ。理由は単純で、大規模団地が多いし、管理会社に求めるサービスは必要最小限で、管理費はm2当たり100円もあれば十分だ。公団分譲住宅の修繕費+管理費をm2360円として見ると、最高到達時点の民間マンションの合計額と大差ない。民間分譲マンションで管理費が占める割合が高いのは、小規模戸数が主因だ。一方大規模戸数の超高層でも管理費は高額である。合計額に占める管理費の割合が80%を超える場合さえ生まれるが、超高層特有の構造上の理由と、最大限のサービスをステイタスにした管理会社の戦略が当たっている。
 ところで修繕積立金が山型に推移するのは、東京区部も埼玉県も同様だ。ただし、地域差があり、地価が高い東京区部では3回目の大規模修繕実施までは修繕積立金が上昇する。群馬県では1回目実施までは上がるが、その後修繕積立制度が崩壊し易い。地方都市の低価格化した住宅では合計の負担額を上げると中古価格が下がる。自主管理の超高層も兵庫県で2か所あるが、修繕費を確保しつつ全体の費用負担軽減を図る。多分苦渋の選択だ。(つづく)



(2014年4月号掲載)
(松本 恭治)