新マンション事情

79.人口密度日本一の豊島区が消滅の危機に 都心部の単身世帯化・狭小化・高層住宅化の重いつけ

 2040年までに日本の都市の半分が消滅する可能性があると日本創成会議が5月9日付の新聞に公表した。東京都の豊島区と大阪市の中央区もその候補に上がったから、改めて驚いた。消滅都市は20〜39歳の女性が30年間で半分以下に減じると予測された場合である。もとより小規模市町村が消えることは多くの人々が懸念するところだが、東京の豊島区、大阪市の中央区は枯れても都心区である。
 平成17〜22年の人口増加率は、豊島区は13.6%で、東京都中央区の24.8%に次いで2番目である。大阪市中央区は17.8%で、市内では最も高い。昼間人口比率は豊島区で148.6%で、中央区1738.8%、千代田区493.6%、港区432%ほどには高くないが、渋谷区、新宿区、台東区、文京区に次いで8番目に多い。大阪市中央区の場合は591.9%で市内最高である。両区とも人口が増し、業務地としての立地を誇り、庶民からは高嶺の花の高額な超高層住宅を林立させている。そんな地域が消えるとしたら、現在の人口の構成、世帯構成分布や住宅事情に前兆現象があるはずだ。そこで、2010年時点の0〜15歳未満の占める割合をみると、島しょ部を除く東京都の市区町村では最も低いのは奥多摩町(消滅候補。以下消で示す)の7%、檜原村(消)7.2%、中野区7.5%、渋谷区7.8%、新宿区・豊島区(消)が並んで5番目の7.9%である。なお、豊島区の人口密度は21881.5(人/km)で日本一である。大阪府の市区では浪速区(消)6.1%、西成区(消)7.6%で、3番目に中央区(消)7.8%が登場する。他に消滅候補は、住之江区12.2%、大正区12.3%がある。0〜15歳人口の過疎町村並の割合は地域崩壊の前兆の一つだ。
 ところで2010年の単身世帯率の全国1位は大阪市浪速区73.5%、次いで名古屋市中区68.8%、大阪市西成区65.4%、同中央区64.8%、福岡市博多区64.2%、同中央区63.2%、新宿区62.6%、渋谷区62.5%、大阪市北区61.6%で、10位に豊島区60.9%が登場する。内、消滅候補は5区である。表は東京都の市区町村別の単身世帯率と単身人口比率を1980年と2010年の上位11位まで比較した。過去30年間の単身化はまさに爆発的である。集合化、高層化の結果である。各住宅種別の面積が拡大しつつも全体では狭小化する地域が生まれた。それが都心部で、面積が大きい戸建て住宅が急速に姿を消し共同化=狭小化が進行した。狭小化と単身化の負の循環に陥った。豊島区、新宿区、渋谷区に未婚、離婚、晩婚者が集積し、また移動も激しく、無縁、匿名社会を形成した。
 単身化は持ち家借家のあらゆる住宅で進行したが、商業区域に限定したら、人口の空洞化と単身化はより強調される。同じ住宅規模なら高地価の山の手の方が低地価の下町より単身化が進む。経済力があれば単身化することで一人当たりの居住水準を上げる。都心の分譲マンションが自治能力を失う大きな理由だ。過疎地の消滅は専ら人口減によるが、中心区の消滅理由はやや複雑だ。人口の再生産機能が低下しつつあることは事実だが、現在は外部からの一時居住の大量の単身者が都心区を支えている。そこへ、東京への1極集中が減じたら、家族向け転用・建替え・滅失は困難だ。高層住宅の大量空き家が生じる。(つづく)


(2014年7月号掲載)
(松本 恭治)