新マンション事情

86.人口減少・高齢化社会の空家住宅問題にどう対応するか/建てるばかりが能でない

 空家化は、(1)人口減少による中古市場の低迷(2)各立地における相対的低水準化による市場での脱落(3)高齢単身世帯の施設入所、親族宅一時移転等で生じ易い。空家の個別対策は論議されるものの、予防を含めた視点が欠けている。以下は必要な空家対策である。

 (1)空家を少なくする予防策
 (1)都市の安定、郊外開発の抑制、特に公営企業の住宅供給廃止は問題(2)コンパクトシティー 自転車利用(専用道路整備)、路面電車(3)適正管理推進(4)供給をコントロール、新築住宅の税制、金融の優遇を取りやめる(独)、中古の優遇措置新設拡大(5)無駄な道路整備を行わない。バイパス沿道の開発を禁止、地方都市では市街化調整区域自体の開発が多い(6)地域再生をする。雇用促進、育児子育て環境確保(7)郊外の沿道では、店舗+住宅の複合ビルを避ける(8)家族数と住宅規模のミスマッチを無くす↓住宅流通の改善。近隣の学生にシェアハウスとして貸与し、後輩に引き継がせる。安価+地域住民との交流を魅力にする(9)防犯性能を高める(10)退院時の住宅確保支援(11)管理費等の長期滞納者には競売にかけても持ち主交代を促進する。不良化しつつある住宅には査察の上、適正管理推進の勧告を行う。

 (2)空家を活用する 
 (1)コンバージョン 競売物件なら格安。高齢者向け居住施設、倉庫。但し空家の増加に追いつかない(2)複数住宅使用促進 所有と借用を組み合わせる(3)2戸1、3戸2の水準向上。賃貸住宅・社宅等で有効(4)共用施設として共同利用する(5)空家税を課す、年ごとに増額する(仏)(6)空家所有権をそのままにして、行政が管理権を持つ。一般に貸出し、賃料を取り家主に渡す(英)(7)親族近居を促進する(税制優遇、公共住宅の倍率優遇)(8)長期施設入所者の住宅活用と安心保険保障。

 (3)取り壊す
 (1)現地で建替える(2)管理組合を解散し空家を取り壊し、土地を売却する。戸建住宅に建替える(前橋市、複数企業所有のテラスハウス↓戸建て分譲)。住宅以外の用途に変える(3)集団移転による等価交換を行う(事例=東京杉並区、宮城仙台市)(4)改善命令を出しても効果が無い危険、不衛生建築物には閉鎖命令を出し、強制執行を行う。
 マスコミも研究者も空家問題に関心が高いが、予防策となると、全く触れず仕舞だ。行政の対策は現在戸建てに限定されている。分譲マンション、非木造賃貸共同住宅、非住宅施設の空家までは手を付けていない。理由は、戸建は目立ちやすく、隣家からの火災・防犯不安、害虫、ゴミ等の苦情が多いが、一方、非木造共同住宅の場合は、内部がゴミ部屋でも、鉄扉一枚で隔離されているから外部からは気づきにくい。たとえ廊下や敷地にゴミが放置されても、アパート経営者か管理組合が対応すべきと行政は考えている。ただし、全国的に戸建てより非木造共同住宅の方で空家率は高く、大都市の場合総空家数に占める割合は戸建住宅より多い。非木造共同住宅の空家は管理上の諸問題に発展し易く、またドミノ化しやすい。対策は何れも困難を伴う。外国には有っても日本に無い対策も多い。区分所有建物の対策は賃貸より困難だ。但し人口減少社会では、まったなしの課題である。(つづく)


(2015年2月号掲載)
(松本 恭治)