新マンション事情

87.年齢別人口実績と予測から見えるもの/対策の先延ばしほど重症化

 図は全国の10歳区分の年齢別人口変動である。20歳代は借家層、30歳代は分譲マンションの購入層、40歳以上は子供の教育費がかかり、後半から家族の世帯分離が始まる。50歳代は住宅の買替え、建替えが生じるが、住宅ローンを組むには高齢すぎる。管理職となって経済的余裕があるものの、退職まであとわずかである。一生をモデル化しても各個人のライフスタイル、生活の優先順位、経済状態、価値観は多様である。ただし年齢層ごとにまとめて見れば今も昔も大きな傾向は変わらない。各年齢帯は2度人口のピークを体験する。団塊世代と、団塊二世による。ただし、いずれの年齢帯も少子化の進行で団塊三世がいない。強いて挙げればやや傾きが緩くなる部分が団塊三世の痕跡に当たる。
 ところで20歳代が二度目のピーク1913万人に達してから2040年時点の人口は961万人まで低下する。二度目のピークから961万人が減少した。30歳代も同様に775万人、40歳代646万人、50歳代502万人が減少する。65歳以上は上昇し続ける。1975年に887万人、2010年2948万人、2040年の予測値が3868万人だから、街づくり、住宅経営における存在感は大きくなるのは疑いない。
 20歳代は既に減少続きで2015年までに約650万人も減じている。単身居住者は一部で、また晩婚化による単身居住期間が長期化しつつあるものの、これだけ人口が減じれば借家、特にワンルームマンションの適正経営・管理に大きな影響を与える。単身者用の住宅は都市部に立地するが、最寄駅からの徒歩時間、日照、騒音、排気ガス等の外部環境、建物の計画水準、維持管理水準等で選別を受けやすい。家族向けに比べれば定住性が乏しく空家ドミノが生じやすい。
 30歳代になると都市部では家族向け分譲マンションを購入する割合が高まるが、第二の山が過ぎてからの経過時間はまだわずかである。大都市郊外、地方都市では既に30歳代の人口減少は都心より速く、空き家化に先行して中古価格の値下がりが進行している。マンション内住戸の空き家化ドミノが進行した場合は管理放置・放棄も起きる。環境、管理、住宅水準等の不良住宅が市場から脱落し易いのはワンルームマンションと同様であろう。勿論立地差が生じる。
 1975-2013年までの着工統計を見ると、1987年が最高の172.9万戸、2009年が最低の78.8万戸、2013年98.0万戸である。2009-2013年では新築が増えているが1987-2013年の長期で見れば大きく減じている。短期で見れば、経済ショックや税制緩和、金融緩和、容積緩和等の政府のてこ入れがあったことに加えて、景気不景気があり、団塊一世と団塊二世の山と谷が綾織り状態で進行したこと等で、住宅種類別の着工件数と人口には、明確な関係を見つけにくい。但し2016年に40歳代の団塊二世がピーク後は、20-49歳人口の各年齢帯が同調して減るのみだ。本格的な住宅余りの始まりである。都市住宅政策を足し算から引き算に前倒しでも転換しなければ、都市は空家化で荒廃する。残された猶予期間は僅かだが、全国の住宅都市マスタープランには全く緊張感がない。
 特に20-49歳の人口減少は東京都心区こそ深刻化するが、多くの識者も現在の延長しか考えていない。(つづく)



2010年迄は住民票登録数。以降は社会保障・人口問題研究所の予測値、
人口集中県は各第2の山が大きく、人口減少県は第2の山が消滅する。

(2015年3月号掲載)
(松本 恭治)