新マンション事情

106.勢いを増す持家共同住宅と公共住宅の高齢単身化/過度の単身化は住宅の存続を脅かす

 図は1998年から2013年までの住宅種類別の単身化の変化を示す。持家戸建て、持家長屋、持家共同住宅は1998年、2003年では住宅土地統計調査では残念ながら分類表示が無い。本来分譲マンション内には空き家の他、個人の借家も混じるが、空き家はここでは含まれず、個人の借家や分譲マンション内に計画された借家目的の投資物件の多くは民営借家にカウントされる。持家長屋、持家戸建ても同様である。単身世帯率は持家戸建てが最少で、民営借家が最多となる。注目すべきは両者の中間に入る住宅の単身化が速いことだ。
 ところでUR公社、公営住宅は家族向けの住宅難対策が主目的だったから、当初から単身者が多かった訳ではない。しかしながら一般の住宅水準が向上するに連れて1DK、2DK住宅が家族世帯から敬遠されるに従って、単身者でも空き家の入居抽選に応募が可能となった。但し単身者に占める65歳以上世帯主比率は、全住宅で32.4%持家長屋72.7、持家戸建て70.8、公営67.0、UR公社52.3、持家共同41.2、民営借家16.4、給与住宅2.4だから、今後、団塊世代の配偶者欠損が進行すると、民営借家と給与住宅を除いて高齢の単身比率はさらに上昇する可能性が高い。
 公営住宅、UR公社住宅の高い高齢単身率は事業の縮小で新築が抑制された影響が強い。一方持家共同住宅は2013年の世帯数が1998年の世帯数の2倍ほど増えたから、1998年以前に供給された住宅の単身率や単身世帯に占める65歳以上比率が上昇しても、全体としては大量の新築参入で上昇率が緩和された可能性が高い。以上の数値は全国平均で、実態は地域格差が大きい。たとえば持家共同住宅の単身率は最高が秋田県の54.5%で、最低が沖縄県の23.2%で東京都は31.8%と言った具合だ。合計11県が40%を超すが、内訳は東北、北関東、中部に分布する。管理不全が多いと推定するが、分譲棟数は少数でかつ立地は限定的だから、県民、行政、議会の関心は薄い。
 高齢単身率が上昇することによる不安は、地震等の大災害に対応しにくくなること、平常時でもコミュニテイーが不安定化し、特に虚弱老人の引き籠りが増える恐れが強い。但し分譲マンションの棟単位で考えると、古い住宅ほど個人的な借家が蓄積しているはずだ。 指定統計では借家化の状況を確認できないが、居住世帯の3割〜4割も借家化している棟事例を多数発見出来る。管理組合の役員のなり手が減るが、不在家主に協力金納付を義務付け、役務負担との公平化を図る場合もある。借家住宅が増えることを一般的にマイナスイメージで捉える場合が少なくないが、高齢化が進む分譲マンションでは、借家世帯に子供が多く、マンションのプラスと考える人もいる。多世代で住めば高齢者にも子供にも良いはずだ。少なくとも高齢単身者ばかりが増えるよりましだ。
 詳細に分譲団地の借家人を分析調査した経験があるが、団地住民と親子、兄弟姉妹の関係がある世帯が意外と多い。公共施設の利用から見れば、特定年齢層に特化しないことが重要だ。なお、コミュニテイー形成を図るなら、まずは住民の実像を把握することが第1歩のはずだ。(つづく)




(2016年12月号掲載)
(松本 恭治)