新マンション事情

112.結婚に夢が無くなったか、夢でしか無くなったかー男女で住む場所が違う生涯未婚者

 40%の生涯未婚率を過疎特有の問題だと思っていたら、すぐその後ろに東京都心区が迫っている。都心区では未婚独身+離婚・死別独身で単身世帯率は6割に達する勢いである。渋谷区の合計特殊出生率は東京都の中でも最低である。これでは日本が壊れていく。大正時代から1975年までの婚姻年齢は大きく変わらなかった。ところが団塊1世が婚姻適齢期を過ぎてから急速に未婚者が増えた。左下がりの人口構成では男が余る。男30歳のときは配偶者は27歳まで、男40歳のときは嫁さんを30歳までと限定しがち。男50歳だったら35歳までとのたまうから、中高年男性はともかく結婚できない。50歳を超えると人気の映画俳優か歌手か会社の社長位しか結婚できない。50歳以上で結婚できるのは1%以下である。なぜ男の未婚率が女性より高いかは主な理由が2つ。一つは人口構成上の理由。もう一つは離婚した際に子供の親権を取るのは8~9割は女性。離婚男は身軽だから再婚しやすい。2度以上結婚されると未婚男はより取り残される。どんな人が女性の未婚か。かっては女教師や女性研究者が高学歴女性の代表であったが、今は女医さんの3割が生涯未婚。まあ普通の男性にとっては高嶺の花。患者と医者はお互いに指名できないし、うまく出会っても診察中に口説くのは難しい。男も女も未婚が増えた理由は上記だけでない。縮小経済の持続で将来の夢が持てない。社会の変化の速さについていけない。プライバシー尊重、自己決定尊重でいわゆるおせっかいが居なくなったこと、独身でも過ごしやすい便利な社会になったことなどが上げられる。桧原村、奥多摩町、日の出町は過疎の横綱で、男性の生涯未婚率が高い。ところが日の出町はこのところ出生ブームが起きている。町は町の努力の結果と言うが、私の観察は意外や高速道路開通のおかげだ。16000人の小さな町にイオンが進出し、工場建設、新築住宅ブームが起きている。普通はストロー現象で町の人口は、立川か青梅市に吸い取られるリスクがあった。20代、30代の独身男性には好機到来だが50歳の生涯未婚者には手遅れである。

 男性の未婚率は中高卒で高く、業種は第二次産業である。下町または郊外で多く、住居費は安い。一方女性は高学歴で高く、業種は第三次産業の中の金融、IT、専門職または経営者等である。渋谷区、目黒区、港区等の一等地では生涯未婚独身女性の所得は高い。住居費は高いが、治安イメージが良い。下町居住の単身者に比べて広い住宅に住む。都心区では経済的に自立した生涯未婚女性が多いのに比べ、一方、郊外は親との同居が多い。しかも失業か非正規就業が多いから、親に経済依存する割合が高い。同居故の介護離職も多い。親の死亡後、遺産の食いつぶしが出来れば、それでも良い。遺産が無い場合は、生活保護受給を考えなくてはならない。親の死後社会的孤立は一層深まりやすい。団塊世代以降の生涯未婚者が老人ホームへの入居を希望しても、入れる人はわずかに過ぎない。せめて孤独死をしないよう心がけることが必要だ。


(2017年6月号掲載)
(松本 恭治)