新マンション事情

113.主に家計を負担する者の高齢化から何が分かるか―放置すれば社会が崩壊する


 最初は2013年時点だけのグラフを作ってみた、高齢化の最高は公営住宅で47%。つまり全国の公営住宅居住世帯の半分が高齢世帯だ。古い団地ではさらに高齢化しているのだが、これに過去の調査時の高齢化率を加えると、勢いが示される。1978年時点では公営住宅の65歳以上割合は、わずか6%で、UR公社住宅の場合は2%に過ぎない、持ち家でも10%だったから、社会全体が若かったことは間違いない。ところが、1978年~2013年では世帯の住まい方も変化している。昔は今より3世代家族が多く、65歳以上で、特に配偶者を失った時点で、子供と同居し、家計を共にする世帯が多かった。すると、高齢者が主な家計負担者から消えていた場合が多かったはずだ。ところが、同居世帯も家計を別にする形(例。台所別)が増え、さらに最近では配偶者を失った後も別居する居住形態が増えて来たのだから、これらは主に家計を負担する者の65歳以上割合が急速に増える原因の一部になった。この高齢化傾向から、高齢単身世帯の爆発的増加、世帯の小規模化、平均世帯収入の低下、労働人口の縮小、住宅新築数の縮小、社会福祉費の増大、若年者の割合低下に起因する都市間移動の減少などが想定され、実際指定統計等を再集計分析するとこれらはほぼ裏付けられた。自動車保有率は地方で増加、大都市圏で縮小する傾向が強まったから、全体では停滞傾向であった。高齢化率は若年世帯の減少に依っても、より高められるが、結果若年・高齢者とも空き家を増加させる原因となっている。勢いでは持ち家、公営、UR公社住宅居住世帯が半数どころか、6割超えするのは、さほど年数を要しないようだ。
高齢世帯化が日本の社会構造を根底から変えるものの、日本の住宅制度、住宅政策は基本的に変化がない。持ち家がゴールとしているから、民営借家に対する国・自治体の支援は相変わらず乏しい。制度・政策のひずみがますます蓄積するから、社会的不平等、矛盾が拡大するようだ。高齢化するほど持ち家率は高まり、単独でも持ち家取得者は広い家に住むことになる。一方4人家族世帯が狭い民間借家に住む場合が多いから、住宅規模と世帯人数のミスマッチはますます拡大する。長期化する老後で持ち家住宅の適正管理が困難化し、戸建て住宅なら一代で住みつぶす傾向が強まっている。売却、相続があれば、建て替えられる割合が高い。一方非木造共同住宅なら建て替えは困難だから、空き家が増える。分譲マンションは共同組織の運営管理が弱体化し、管理不全に陥る住宅が増えた。公営、UR・公社住宅は国の政策で新規供給を停止したこと、住み替えが停滞したことで居住世帯はますます高齢化し、子育て世代はますます少数派となった。高齢単身者に特化したことから、建て替え住宅はますます小規模化が進んだ。あらゆる住宅に高齢者が増えたものの老人居住施設は圧倒的に不足している。そこで国は施設居住を抑制し、在宅ケアを推進するが、在宅ケアのための環境整備を放置して、ケアの基準を下げて広く、薄くサービスすることを選択している。これでは全住宅が破綻に向かう危険性がある。そこで住宅政策、福祉政策、都市計画の一体的・抜本的改善策を次号で述べたい。

(2017年7月号掲載)
(松本 恭治)