新マンション事情

115.民間事業者によるワンルームマンションの再生事例―ビジネスモデルになりえるか

 筆者は群馬県で外部の業者が空き家を買い占め、借家人を集め、従前から所有していた人と一緒になって建物の修繕を実行した分譲マンションの事例を見つけた、だが今後のマンション再生の有力な手段になると強調するには事例がわずか過ぎる、そこで第二、第三の同様の取り組みが出現するのを待った。アメニテイ2017年5月号記事に住まいのリフォームコンクール優秀作品として静岡市の空き家活用の事例が紹介された。民間事業者が24戸のうちの過半数の空き家を買収し、管理組合の中で発言力を確保した後、大規模修繕を実施したと言うものだ。早速現地を訪問し、建物を検分後、法務局に行き登記簿を取り、さらに買収を進めたオレンジハウス(以下O社と表示)の担当室長岡田夏美氏に会ってヒヤリングをした。O社に行くと本社屋自体が空き工場の活用で品良く改修している。不動産業と思いこんでいたら、元々は建築材料業で、近年多角化して来たらしい。1級建築士5人にさらに2級建築士、インテリアデザイナーがいる。住宅の新築だけでなく、ストック活用にも手を広げているようだ。シェアハウスを増やすために大学にも働きかけているそうだが、民間企業には大学も簡単に乗って来ない実情を述べていた。これに依ると、当該マンションは昭和61年に分譲したものの販売不振が続き、最後の1戸が売れたのが平成9年だった。バブル期の63年に14戸をまとめて購入した東京の人が居て、その遺族が不動産屋に売却の相談をした。O社は総額700万円で一括購入した。O社はこの後も別の住宅2戸を買い増ししている。O社が管理組合会員になって、共用部分の修繕をO社が受注するのは「相反利益」に該当すると考え、問うたところ、400万円をO社で負担したそうだ。空き家が大量にあった原因の一つが給水タンクの故障にあったそうだから、投資物件特有の決められないマンションに陥ってたことが推定される。買収住宅の室内リフォーム代は1戸50万円だから、計16戸で800万円かかった。総額1900万円でマンション再生にこぎつけた。O社は分譲マンションの空き家解消のビジネスモデルの一つになると胸を張ったが、そうであれば頼もしい。しかしまとまった住宅数を買収するには、まとまった住宅数を売却する人がいなければならない。今回は上手くいったが、ばらばらに空き家を買収していたら、途中でとん挫する恐れなしとは言えない。現にO社以外に売却した事例が2戸あった。より高く買ってくれる人を探すのは持ち主の当然の行為だ。
 ところで世帯数が増えない状況で空き家マンションに借り手で集めると、他の棟で新たな空き家が増える。つまり、店子の移動を促す。空き家が多いマンションが全て管理不全に陥るより、空き家が少なくなったマンションが管理良好で残るなら、全滅を避けることができる。ワンルームマンションの場合、投資物件であれ、経営者が居る賃貸住宅であれ、店子は借家人だから移動は境界なしだ。若年の世帯数が加速度的に減じているから、賃分に関らず半分くらいのワンルームマンションが消滅してもおかしくない。生存競争で残るためには、民間事業者の協力が欠かせない。



空き家が半数以上であったワンルームマンション。O社
が買収後、2017年6月時点で3戸に減少した。

(2017年9月号掲載)
(松本 恭治)